1. 土川 裕子 10546047
2. ひたり・ま
3. 空間インスタレーション
5. 水、鏡、プロジェクター、真鍮、水槽、木材
6. 縦450×横1800×奥行き1800(mm)
学校で学食に行こうとすると猫がいて、
光がその水飲みに反射し近くの壁にくっきり丸の形で映っていた。
水飲みは、ステンレス製で水が少し残っていてみなもがゆらゆらと揺れていた。
白に黒ぶちの猫がひなたぼっこで丸くなり
唯一動かしているシッポの先と、揺らぐ光をみながら何時間でも
一緒にいた友達と話していれそうだった。
そんな場所を作りたかった。
居場所を作ることは雰囲気に浸ること。
雰囲気とは何かというと、
初めて体験した空気感、
季節や、自分の状況が生み出す気持ちや、
光の感じで実際に目に見える視界の色
人それぞれ感じる雰囲気は違うくらい、
言葉以上に捉えきれない雰囲気。
そして、時間がつまらない時は長く感じたり、
楽しいときは短く感じたり、年を重ねると時間が短くなったり、
それらの感覚は雰囲気が関係しているのではないか、
そう思い、“雰囲気”に着目し、“場所と雰囲気と集い”をテーマに制作することにした。
限られた空間の中で、人々のこころにある無限の雰囲気を引き出す場が必要だった。
空間が揺らぐ空間でこころを動かし記憶を呼び起こし、
ある状況をふっと生み出すことが、そこに集う人の会話のきっかけとなる。
電話中の紙とボールペンのように、無意識なしぐさで動かせそうな小道具も自然に場所にひたれるきっかけとなる。
雰囲気は、どこでも生まれる。
雰囲気は特別な場所じゃなくても生まれるけれど、特別な瞬間や空気感だと思う。
その雰囲気をたくさんの人に提供したいと思った。
真冬の朝、京都の東寺の骨董市でおじいちゃんとおばあちゃんが、
火鉢を囲みながら暖をとっていた情景が忘れられない。
私だったらそんな心の中の雰囲気をふっと思い出したくなる。
今回の、
ひたり・ま、は“ある状況に浸るための空間”です。
この間(ま)はちいさな池をもち、光が床下から池を透り天井を反射し
床に映ります。
池を揺らすと床の光も揺れ空気が揺れます。
空間の揺らぎがこころを動かし記憶を呼び起こし、ある状況を生み出します。
腰を落ち着かせ、醸し出る空気感に浸り、その雰囲気を味わいましょう。
土川 裕子(とがわ ゆうこ) 1984年07月08日生
2005年 多摩美術大学 情報デザイン学科 入学
2006年 多摩美術大学 情報デザイン A-lab 学生展示会 『TECH展 未確認芸術』
2007年 多摩美術大学 情報デザイン A-lab 学生展示会 『TECH展 ナニコレ2007』
2008年 体験コミュニケーション展 <主催:多摩美術大学 情報デザイン学科 芸術コースA−Lab 協力:逓信博物館> |