Shiro's virtual class

立体凧の制作(機能と構造) 

多摩美術大学 立体デザイン科 高橋士郎



無闇に、がんばっても、揚がらない例。盛優子
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1-0 デザインの目的 空気の博物誌

1-1 現実の形態は、機能性・材料特性・経済性・耐久性・審美性などの様々な要素が互いに絡みあっていて成立している。

したがって。形態創作の実際においては、混沌とした矛盾に遭遇することとなる。

独創的なアイデアを具現化していくためのデザインプロセスを学び、矛盾するデザイン要素の均衡を探る。

1-2 テーマに立体凧を設定し、現物試作による実験を行いながら、設計データーのないデザインプロセスを学ぶ。

凧は風によって揚がる。凧を揚げる人はただの錘の役をしているに過ぎない。風は見えないし、設計者が無闇にがんばっても、凧は揚がってくれない。凧を設計するためには、情熱的な意欲と、冷静な知恵と、行動的な実験が必要となる。

良い凧には、1)新規な形態 2)飛揚する機能  3) 風に耐える強度 の3要素のバランスが整っている。

この3要素の組み合わせにおいて、1)形態の創造 2)構造の考案 3)重量の設定を決定しなければならない。

1-3 創作の成果は、グラフィック技法を駆使して、作品の美的表現および客観的な情報をウエブサイトに発行する。

 


すべての面が平行である形態


丈夫だが、重量過剰で揚がらない例


良く飛ぶが、強度不足で壊れた例


装飾物のために安定しない例

2-0 アイデアの展開 :問題点を認識して、可能性を探究する。

2-1 飛揚の原理

風の特性:季節の風
空気流体の粘性:揚力/抗力/重力
すべての面が平行である形態:風の流れにさからわずに、多くの風を囲み込んでながす形 
軽くて丈夫な構造体:シンプルで合理的な形態の美 

2-2 すべての面が平行である形態の展開

基礎形態の展開 1)正面図から奥行き方向への変形 2)断面形状の変形 3)膜面の変形 4)膜面の消去と付加
提出:すべての面が平行である形態のムネイルスケッチ40点を描く。

2-3 飛揚する形態:単純で合理的な美しい形態を創作する。

凧は、風の強さにあわせて、飛揚に最適な姿勢角度を自動的にとります。
風力と風向は絶えず変化するので、迎角・膜面揚角・作用点は自由でなくてはなりません。
凧の全体形状・縦横比・糸目の位置は、風に逆らってはいけません。 
スケーリングの原理により、構造体は大きい程軽量となり性能が上がりますが、反対に強度が落ちます。
材料固有の適切な寸法があります。
揚力を発生するのに有効な膜面と、無効な膜面があります。
余計な膜面は、ピッチング・ローリング・ヨーイングの原因になりますが、省略しすぎると、横滑りの原因となり、安定性した動作ができません。

2-4 基本設計:軽くて丈夫な構造体を考案する。

構造の種類:フレーム膜構造  テンション膜構造  空気膜構造
対風圧強度:風圧による変形に耐えるために、剛性と柔軟性・糸目からの応力分散を考慮する。
耐衝撃:墜落時の耐衝撃性を工夫する。落下時には急降下して人にぶつからないよう、糸を緩めます。
有効膜面積の計算:斜投影面積
重量計算:総重量/有効膜面積=膜面荷重

基本形状の計算例:最小材料による最大有効膜面積
正面の形状 正方形 菱形 円形 三角形
総膜面積 3.14
総骨長さm 12 12 10.28
有効膜面積 2.8 1.5
膜面荷重g/ 4.28 5.14

 

膜面荷重の実例:
ゲイラカイト 250g/m2 5m/sec  
箱凧 300g/m2 5m/sec  
ハングライダロガロ式 FAI基準 6000g/m2    
リリエンタールのグライダ      
人力飛行機ゴッサマー号 1420g /m2 5m/sec  
ライト飛行機フライヤー号      
ジャンボジェット機B-747 70.7m 910km/h 395t

提出:構造と形態のラフスケッチを制作し、模型材料を調達する。
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模型で、形態を決定する。

3-0 デザインの定着

3-1 構造設計

主構造と従構造 剛性と柔軟姓 緊張材と圧縮材
部材の断面形状と強度:
提出 :スケ−ル模型

3-2 ディテ−ル設計(強度と重量・風圧による変形・応力分散・墜落時耐衝撃)

提出:ジョイント部のラフスケッチ

3-3 デザインの決定 材料調達・材料購入表

張力膜材料:ポリエチレンゴミ袋の寸法、厚さ、価格、調達法 特性:強度、比重0.94
張力糸材料:畳用ポリエステル糸の製品寸法(太さ、長さ)、価格と調達法 特性:繊維の組織、引張強度 比重
圧縮骨材料:模型用桧角材の製品寸法と断面形状、価格と調達法 特性:木組織の特徴 曲げ強度 比重0.5
膜と膜骨糸の結合材料:粘着テ−プの製品寸法、価格と調達法 特性:ベース 材質、粘着剤、強度、耐久性
結束方法: 骨と骨の結合方法 糸と糸の結合方法 糸と骨の結合方法 結索法
提出:三面図・材料表・重量計算書
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原寸での製作作業時には、設計変更をしない。

4-0 試作機の製作と実験 GoogleEarth 1975

実験環境:風の観察・季節と地形・日時・場所・風速・風向
飛揚実験:糸目調整・手糸・糸巻・手袋・補整修理の予備材料と道具・運搬性
性能測定:上昇角・張力・迎え角・高度・安定性 ヨーイング、ローリング、ピッチング
強度実験:風圧による変形・落下衝撃による破損
凧の回収と教室の清掃              
提出: 試作機

凧揚大会の記録写真  

タイ王国での授業

 

5-0 プレゼンテ−ションの製作 デザインの内容を編集・視覚表現して、想定する受け手に伝達する。

5-1 美的表現 飛揚する形態の美しさを表現する。 デザイン仕様(全体構造・性能・特徴)取扱説明

提出場所:個人サイト http://www.tamabi.ac.jp
外観図:GIF画像

5-2 客観的表現 復元製作の方法を伝達する。 製作法(組立三面図と部品表・各部工作イラスト・展開図)

仕様:寸法H×W×L 総重量g 総膜面積 有効膜面積 膜面荷重g/
材料表:膜材料 ポリエチレンフィルム 厚さ 骨材料 桧角材 本数
性能表:上昇角 安定性 強度
特徴: