1754年 コンディヤック「感覚論」Traite des Sensations "Traite des Sensations"

1948年 創元社哲学叢書「感覚論」目次  加藤周一 三宅徳嘉訳

第一部 それ自身では、外部の対象を判断しない官能について
第1章 嗅覚の官能だけに限られた人間のもつ最初の認識について
1嗅覚の官能だけに限られた立像は匂しか識ることができない、2立像は、自分に関するかぎり、ただ自分の感じる匂にすぎない、3立像は物質の観念を少しももたない、4人はその認識においてこれ以上に限られることはできない
第2章 嗅覚の官能だけに限られた人間における悟性の作用について、またいかにして異なる度合の快楽と苦痛とがその作用の原理となるか
1立像は注意の能力がある、2たのしみとくるしみとの能力がある、3しかし欲望を形づくることはできない、4立像の作用の原理である快楽と苦悩、5もし記憶がなかったら、どんなに限られているだろうか、6記憶の誕生、7感覚する能力が嗅覚と記憶とに頒たれる、8記憶はそれゆえ感覚する一つの仕方にすぎない、9記憶の感情は感覚の感情よりも強くなりうる、10立像は自分のなかに一つの継起を区別する、11いかにして立像は活動的でありまた受動的であるか、12この二つの状態の差別を立てることはできない、13記憶は立像において一つの習慣となる、14立像は比較する、15判断する、16これらの作用は習慣に転じる、17立像は驚くことができるようになる、18この驚きは魂の作用に一そう活動性を与える、19記憶のなかに貯えられる観念について、20これらの観念のつながり、21快楽は記憶を導く、22二種の快楽と苦痛、23両者のさまざまな度合、24無関心の状態はただ比較によってしかない、25要求の起源、26いかにして要求は魂の作用を決定するか、27要求が記憶に与える活発さ、28この活発さは要求とともに止む、29記憶と想像との差、30この差は立像には把えられない、31我々の想像よりも活発な立像の想像、32立像の想像が活動を欠く唯一の場合、33いかにして立像は活動に戻るか、34立像は観念に新しい秩序を与える、35観念がいろいろにつながるのは、ただ新しい比較がなされるからにほかならない、36このつながりをみて立像は自分の今までの在り方を再認する、37立像はこの現象を理解することができないだろう、38いかにして観念は記憶の中に貯えられまた甦るか、39立像がつけた習慣の列挙、40いかにして立像の習慣は保たれるだろうか、41強められるだろうか、42立像の識別力の限界はどうか
第3章 嗅覚の官能だけに限られた人間のなかの欲望、情念、愛、憎悪、希望、恐怖および意志について
1欲望は機能の活動にほかならない、2欲望の強弱をつくるもの、3情念は一つの支配的な欲望である、4いかにして一つの情念が他の情念に続くか、5愛と憎悪とは何か、6いずれも異なる度合をゆるす、7立像は自分だけしか愛することができない、8希望と恐怖との原理、9いかにして意志は形づくられるか
第4章 嗅覚の官能だけに限られた人間のもつ観念について
1立像は満足と不満足との観念をもつ、2これらの観念は抽象的で一般的である、3一つの匂は、立像にとって、一つの特殊な観念にすぎない、4いかにして快楽一般が立像の意志の対象となるか、5立像は数の観念をもつ、6これを自分の記憶だけに負う、7どこまでこれを拡げられるか、8立像は二種の真理をもつ。特殊な真理、一般的真理、9可能なものについて或る観念をもつ、10恐らくなお不可能なものについても、11過ぎ去った持続の観念をもつ、12来るべき持続の観念をもつ、13限定されない持続の観念をもつ、14この持続は立像にとって一つの永遠である、15立像のなかには二つの継起がある、16これらの継起の一方は他方の瞬間を測る、17持続の観念は絶対的ではない、18そのことをはっきりさせる想定
第5章 嗅覚だけに限られた人間の眠りと夢とについて
1いかにして機能の活動が緩やかになるか、2眠りの状態、3夢の状態、4どこが目覚めと異なるか、5立像はこの差別を立てることができないだろう
第6章 嗅覚だけに限られた人間の自我、或いは人格について
1立像の人格について、2立像は存在の第一瞬において私と言うことができない、3立像の自我は現に自分があるものの意識でもあれば、同時にまた嘗て自分があったものの想出でもある
第7章 前の章までの結論
1唯一の官能だけで魂はあらゆる機能の芽生えをもつ、2感覚は魂のあらゆる機能を含む、3快楽と苦悩とはその唯一の動因である、4嗅覚について言われたことはすべて他の官能にも当て嵌めることができる
第8章 聴覚の官能だけに限られた人間について
1聴覚の官能だけ限られた立像は自分の聞く一切のものである、2二種の聴覚の感覚、3立像は雑音が次々に聞える場合にかぎって幾つかの雑音を区別する、4楽音についても同様である、5立像は嗅覚をもつ場合と同じ機能を獲得する、6耳の快楽は主に旋律から成り立つ、7この旋律は既得の観念を少しも予想しない一つの感動を惹き起す、8これらの快楽は、嗅覚の快楽と同じく、いろいろな度合をゆるす、9最も強い快楽は訓練された耳を想像する、10そして快楽はすべてよく組織立てられた耳を予想する、11立像は一緒に聞える雑音と歌とを区別するに到る、12一つづきの楽音は一つづきの雑音よりも記憶のなかでよくむすびつく
第9章 結合された嗅覚と聴覚とについて
1結合されたこれら二つの官能はどんな外部のものについても観念を与えない、2はじめ立像は音を同時にやってくる匂から区別しない、3やがてこれを区別することを覚える、4立像には自分というものが二重の存在を獲得するように見える、5立像の記憶は一つしか官能をもたなかったときよりも拡る、6立像は抽象的観念をもっと沢山形づくる
第10章 味覚だけについて、また嗅覚と聴覚とに結びつけられた味覚について
1立像は嗅覚の場合と同じ機能を獲得する、2味覚は嗅覚と聴覚とよりも立像の幸不幸に与るところが多い、3これらの官能の伝えてよこす感覚について立像が行う識別、4味覚は他の官能を損うことがありうる、5これらの官能の結合から出てくる有利な点、6これらの官能の効果に対する疑問
第11章 視覚だけに限られた人間について
1偏見ならびにこれと闘う考察、2立像は色を自分自身の在り方としてしか知覚しない、3最初の瞬間には色をぼんやり見る、4いかにして色を次々に識別するか、5いかにして一遍に幾色も識別するか、6この点に関する立像の識別力の限界、7立像はこの官能によって望むものを手に入れる手段が一つ殖える、8いかにして立像は拡りのある自分を感覚するか、9立像は位置の観念も運動の観念ももたない
第12章 嗅覚、聴覚および味覚を伴う視覚について
1これらの官能の結合によって生じる効果、2立像の脱することのできない無智、3懐きうべき判断

第二部 触覚、或いはそれ自身で外部の対象を判断するただ一つの官能について
第1章 触覚だけに限られた人間に帰せられる最小限度の感情について
1立像のもつ基本的感情、2基本的感情は変様をゆるす、3基本的感情は自我と同じものである
第2章 最小限度の感情に限られたこの人間は、拡りと運動とについて何らの観念をももたない
1基本的感情に限られた存在、2この感情は拡りの観念を一つも与えない、3もっと強くなっても、やはり少しも与えない、4たとい変様されても、与えないこともありうる、5この状態では立像は運動の観念を少しももたない
第3章 触覚に帰せられていながら、しかも何ら拡りの観念を与えない感覚について
1立像は一遍に経験する感覚を次々に注意してからでなければ、分離しない
第4章 問題の解決に対する予備考察。いかにして我々は自分の感覚から物体の認識に移るか
1いかにして我々は物体を抱懐するか、2物体の認識を与えてくれる感覚の特有性、3自然が我々をこの認識へ導いてくれるただ一つの手段
第5章 いかにして触覚だけに限られた人間は自分の身体を発見し、また自分の外に何ものかがあることを覚えるか
1立像は運動をもつ、2いかにして運動は産み出されるか、3立像の身体をもっていることを魂が発見するときの感覚、4何によって立像は自分の身体を再認するか、5いかにして他の物体のあることを発見するか、6立像が物体についてもつ観念は何に還元されるか、7自分の触っている一切のものでないという立像の驚き、8この驚きの結果、9立像は触るものごとに、一切のものに触っていると信じる、10いかにして触ることを覚えたか
第6章 触覚の官能だけに限られた人間のなかの快楽、苦悩、要求および欲望について
1立像は自分の身体の諸部分を分離するという快楽をもつ、2動くことに、3対象をいじることに、4その観念を身につけることに、5立像は他の官能の場合よりも苦悩にさらされている、6立像の欲望は何で成り立つか、7その対象はどうか
第7章 触覚の官能だけに限られた人間が、空間を発見しはじめる仕方について
1快楽は立像の運動を規正する、2立像は好奇心を懐きうるようになる、3他の官能の場合にはこの力がなかった、4好奇心は立像の活動の主な動因の一つである、5苦悩は動こうとする欲望を中断させる、6この欲望は恐怖を伴って甦る、7恐怖がこの欲望を全く圧し殺してしまうような状況、8一種の智能にきっかけを与える恐怖
第8章 触覚の官能だけに限られた人間の獲得できる観念について
1立像の教育に等しく必要な快楽と苦悩、2快楽と苦悩だけが立像のもつ認識の数と範囲とを決定する、3立像が観念を獲得する順序、4獲得する最初の観念、5立像の好奇心は一そう大きくなる、6どれほどの活動力をもつか、7立像は形の観念を身につける、8反対の性質を比べることによって、9立像が物体について作る観念をいかにして人は判断しうるか、10立像の比較できる二種の感覚、11単純な感覚についての立像の判断、12複合感覚に対する判断、13いずれの感覚に対しても精神の作用は同じである、14立像は反省する力をもつようになる、15立像からみて一つの物体であるもの、16どんな性質から立像は対象を合成するか、17抽象的観念を作る、18その数は決定できないだろう、19立像は数に関する観念を拡げる、20これによって立像のもつ他の観念は一そうはっきりする、21立像は存在と実体との抽象的概念には達しない、22哲学者はこの点について立像以上に知ってはいない、23立像が持続について抱く観念、24空間について、25広大無辺について、26永遠について、27この最後の二つは立像の想像の錯覚にすぎない、28感覚は立像にとって観念である、29感覚はどういう点で知的観念と異るか、30立像が自分の観念と感覚とのあいだに立てる区別、31感覚が立像の認識の源であるなら、観念はその基礎となる、32観念がなければ、立像は触っている対象を判断し損うだろう、33起源において、観念も感覚も同じものであることに立像は気づかない、34立像が行うかもしれない悪い推理、35立像の認識は実践的なものにすぎない。また立像を導く光は本能にすぎない
第9章 視覚を論じる場合に言われることの理解を容易にするための観察
1この章の対象、2立像は一本の棒の助けをかりていかにして距離と位置とを判断することができるか、3二本で、4立像は掴んでいる端と反対の端に感覚を持ってゆく、5立像は一種の幾何学を自ら作る
第10章 触覚の官能だけに限られた人間における休息、眠りおよび目ざめについて
1立像の休息、2眠り、3目ざめ、4これらの状態を再び通ることを予見する、5何によってこれらの状態を区別するか、6眠りの状態の観念は身につけない
第11章 触覚の官能だけに限られた人間における記憶、想像および夢について
1いかにして観念は立像の記憶のなかで結ばれ合うか、2どの観念もみな拡がりの観念に結びつく、3その想出は一そう強くて長つづきがする、4立像の想像は何から成り立つか、5反省は想像に結びつく、6想像という語を取ることのできるもっとも広い意味、7触覚と想像とが協力する楽しみ、8想像が立像を陥れる過度、9夢の状態、10夢と夢が観念を描き直す無秩序との原因、11目ざめた立像の感情、12夢の状態と目ざめの状態とについての立像の困惑、13なぜ立像は憶えている夢と忘れてしまった他の夢とをもつか
第12章 触覚の主な器官について
1器官の動き易さと曲り易さとが触覚によって観念を獲得するのに必要である、2しかし我々のもっている以上の動き易さと曲り易さとは無用であるばかりか邪魔にさえなろう、3それゆえ立像にはこの点で何一つ欠けていない

第三部 いかにして触覚は他の官能に外部対象を判断することを教えるか
第1章 臭覚を伴う感覚について
1匂に対する立像の判断、2これらの感覚の原因がどのようなものでありうるか想像しない、3立像は二つの異なった存在である、4匂が物体から来るのかと疑いはじめる、5自分のなかに嗅覚器官を看破する、6匂を物体のなかだと判断する、7匂を物体のなかに嗅ぐ、8匂は物体の性質となる、9これらの判断と馴染むのにどれほどの苦労をするか、10二種の物体を区別する、11また数種の匂う物体を、12嗅覚の官能が獲得する識別力、13感覚と混り合う判断、14混り合わない判断
第2章 結合された聴覚、臭覚および触覚について
1聴覚を返してやるときの立像の状態、2自分のなかに聴覚器官を発見する、3音を物体のなかだと判断する、4音を物体のなかに聞く、5この聞き方の習慣を身につける、6耳の識別力、7聴覚で距離と位置とを判断する、8立像を陥らせることのできそうな誤り
第3章 いかにして眼は物体の距離、位置、形、大きさ及び運動を見ることを覚えるか
1視覚が返されるときの立像の状態、2なぜ眼は触覚によってしか教え込まれないか、3眼の先に色を感覚する、4色に面の作られるのを見る、5この面は広大無辺に思われる、6立像は見ることを覚える必要はない。しかし視ることを覚える必要がある、7立像はこの面を自分から遠いと判断する、8色を物体のうえに見る、9この習慣を立像につけさせてしまう実験、10対象を触っている距離に見る、11球を見ることを覚える、12球を立方体から区別する、13いかにして眼はその場合に触覚によって指導されるか、14眼が記憶から引き出す援助、15眼は位置を判断する、16少しも二重に見えない、17大きさを判断する、18また運動を、19まだ手の届く範囲の外を見ない、20向うにある対象はいかにして眼に映るか、21眼は手の届くところ以外を見ることを覚える、22なぜ遠ざかる対象は知らず識らず小さくなるように見えるのか、23いかにして眼は触覚の援けなしですませることを覚えるか、24なぜ見まちがえるか、25触覚と矛盾に陥るだろう、26眼は自分自身とも矛盾に陥る、27大きさによって距離を判断する、28映像の明瞭さによって、29距離によって大きさを判断する、30中間の対象によって距離と大きさとを判断する、31もう大きさも距離も判断しない場合、32大きさと比較した結果生れる効果、33視覚を完全に使うと他の官能の慧敏を傷つける
第4章 なぜ触覚にしかよらない観念を視覚に帰したくなるか。どんな反省の経過をたどってこの偏見を打ち破るに到るか
1なぜ眼が修業を要することを納得するのに苦心するか、2この偏見を打ち破ってしまう想定、3この発見のきっかけとなった疑念と反省
第5章 白内障の癒された生れながらの盲人について
1その生れながらの盲人は手術を受けたがらなかった、2手術前の眼の状態、3手術後、対象は眼の先に見える、4またひどく大きく見える、5彼は対象を形においても、大きさにおいても見別けない、6いかにして一つの対象が他のものよりも視覚に小さく映りうるか想像もつかない、7勉強のあげくようやく見ることを覚えるにすぎない、8彼が一そう多くの快楽をもって、見ていた対象、9浮き出し模様を見ての驚き、10細密書の肖像を見て、11彼の陥っていた先入見、12彼にとって幾つも見方があった、13黒は彼に不快だった、14手術が両眼に施されたとき、いかに見えたか15眼を向けるのに感じていたむずかしさ
第6章 白内障の撥嵩術をしてやろうとする、生れながらの盲人をいかにして観察しうるだろうか
1めぐらすべき予備工作、2なすべき観察、3使うべき手段
第7章 触覚に付け加えられた視覚が持続に関して与える観念について
1昼から夜へ、また夜から昼への移り変りを初めて認めるときの、立像の驚き、2やがてこれらの循環が自然に見えてくる、3太陽の運行が立像の持続の尺度になる、4もっとはっきりした持続の観念をもつようになる、5三つのことが持続の観念に与っている、6そこから日が長く年が短く見え、また日が短く年が長く思われることが出てくる
第8章 触覚に加えられた視覚はいかにして眠りの持続について何らかの認識を与え、また夢の状態を目ざめた状態から区別するように教えるか
1いかにして視覚は眠りの持続を識らせるか、2また夢の幻覚を識らせるか
第9章 視覚が触覚、聴覚および嗅覚に加えられたときの、認識、抽象および欲望の連鎖について
1視覚の感覚が結びつく、主要観念、2視覚が触覚に結合してから、感覚の観念はもっと一般的になる、3おのおのの色は抽象的観念となる、4視覚は活動的になる、5欲望の座であることがいよいよ目立ってくる、6色を描き出すのに前ほど想像がはたらかない、7官能はお互いに制御し合う
第10章 触覚に結合された味覚について
1この官能はほとんど修業の必要がない、2はじめて感じられた飢えは、定った対象を少しももたない、3立像は現れ出るもの一切を無差別に捕えることを知っている、4立像は自分に適した食物を見つける、5それを欲望の対象とする
第11章 五つの官能の結合に対する一般的観察
1立像が自分の感覚について抱く一般的観念、2いかにして想像は活動性を失うか、3記憶のなかでのあらゆる種類の感覚の連繋、4触覚が他の官能に結合されることによって立像の獲得する活動性、5いかにして立像の欲望はあらゆる機能の活動を包み込むか

第四部 すべての官能を享けている一人きりの人間のもつ要求、智能および観念について
第1章 この人間は要求を選択して充すことをどうして覚えるか
1要求をもたない立像、2満しやすい要求をもつ、3満しにくい要求、4立像はなお見透しを欠く、5いかにして見透しが利くようになるか、6この点からみた立像の理性の進歩、7立像の勉強の順序は要求によって決められる、8そして主に食物の要求によって、9この要求にもっと拡りを与える判断、10立像の陥る過度、11その罰を受ける、12苦悩によって警告することがどれほど必要だったか
第2章 ひとりきりに打ち棄てられた人間の状態について、また彼の曝されている事故が彼の教育にどれだけ寄与するか
1立像が自分を養うのにふさわしい対象の研究だけにとどまらない状況、2自分を研究する、3対象を研究する、4曝されている事故、5いかにして身を完うすることを覚えるか、6他の事故、7結語
第3章 ひとりきりに打ち棄てられた人間がものごとのよさと美しさとについて抱きうる判断について
1よさと美しさという言葉の定義、2立像はよいものと美しいものとの観念をもつ、3よいものと美しいものとは絶対的ではない、4よいものと美しいものとはお互いに援助を貸しあう、5効用がこの両方に貢献する、6新しさと珍しさとも貢献する、7二種類のよさと美しさ、8いかにして立像はそれに感じうるのか、9なぜ立像はこの点で我々よりも少ししか観念をもたないか
第4章 ひとりきりに打ち棄てられた人間が自分の依存する対象に関して抱く判断について
1立像は自分にはたらきかけるものがみな故らな意図をもってはたらきかけるのだと信じる、2この偏見が立像を引きずり込む迷信
第5章 感覚的性質の存在に対して我々の下す判断の不確実について
1感覚的性質の存在に対する我々の判断は絶対に虚偽であるかもしれない、2この点からみて確実性がましても、我々には無益であろう
第6章 一切の社会の外に生きる人間の得ることのできる、抽象的なまた一般的な観念に対する考察
1立像は特殊的でなかった一般的観念なるものを少しももたない、2立像が目のあたりにある対象についてもつ観念は何によって成り立つか、3目のあたりにない対象について、4いかにして特殊的なものから立像のもつ観念は一般的になるか、5いかにして一般的な観念から、もっと一般的でない観念へ降りてゆくか、6ぼんやり見るのに比例して、一般化す、7立像が一つも認識をもたない対象、8いかなる順序で種の観念を心に作るか、9事物の本性に対する無知、10この無知は哲学者に共通、11立像が対象についてもつ観念は、ぼんやりしている、12立像のもつ抽象的観念は二つある、13二種の真理を識る
第7章 リトワニアの森で見つけられた人間について
1食物に対する要求があらゆる魂の機能を鈍らせるような状況、2リトワニアの森で見つけられた子供、3なぜ理性の印を何一つ与えなかったと言うのか、4なぜ初めの状態を忘れたか
第8章 次々に官能の使用を受け取ったことを想い出すべき人間について
1立像は今の状態を、自分の外のものを一つも識らなかったときの状態に較べる、2立像はいかにして自分の身体やその他の対象を発見したかを想い出す、3いかにして触覚が他の官能に教え込むかを想い出す、4いかにして快楽と苦悩とが自分の機能の最初の動因であったかを想い出す、5習慣のついた判断に対して反省する、6自分について無知のなかにいることを反省する
第9章 むすび
1自然的秩序においては一切のものが感覚から来る、2この源は誰にでも等しく豊かなものではない、3人間は自分で獲得したのでないかぎり、何ものでもない

[コンディヤックの生涯と思想]