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(諸外国の大学入学制度について)

アメリカ

大学入学についての統一的な法令上の規定はなく,各大学の定めた入学要件や基準に従って入学者の決定が行われているが,一般的には,ハイスクール卒業,あるいはこれと同等の資格取得が必要条件となっている。
一般に,ハイスクール卒業資格を持つ者は全員入学の開放型(コミュニティ・カレッジ),基準以上のハイスクールの成績を収めた者は全員入学の基準以上入学型(多くの州立大学)と,ハイスクールの成績等により選抜の競争選抜型(有名私立大学と一部の州立大学)の三つの方式に分類できる。

イギリス

アメリカと同様に統一的な法令上の規定はなく,各大学で定めた入学要件や基準に従って入学者の選抜を行っているが,各大学が独自の方法により全く個別に入学者の選抜を行っているわけではなく,外部の試験機関の成績を主たる選抜資料とするのは各大学に共通している点がある。
外部試験には,義務教育終了時(16歳=第11学年)に受験する中等教育修了一般資格(General Certificate of Secondary Education=GCSE)試験と,後期中等教育終了時(18歳=第13学年)の大学入学資格(General Certificate of Education=GCE)Aレベル(上級)及びASレベル(準上級)試験がある。入学のための必要な要件は,一般要件としてGCE試験の2ないし3科目及びGCSE試験の1ないし3科目の合格が要求されるほか,コース(専攻)要件として大学がGCE試験の科目と成績に関し条件を提示する場合がある。

フランス

高等教育機関への入学決定方法は,無選抜型と選抜型に分類される。無選抜型は大学,選抜型はグランゼコールのほか短期の教育機関となっている。
また,各高等教育機関入学には,国家試験であるバカロレア取得試験に合格し,バカロレア(中等教育修了と高等教育入学資格を併せて認定する国家資格)を取得することが基本的条件とされている。
大学はバカロレア取得者を無選抜で入学させるという原則をとっているが,近年,バカロレア合格者の増加に伴い入学希望者が大学の学生収容力を大きく超えるようになっているため,一部の大学・学部では居住地やバカロレア試験の成績などによる入学者の制限を実施している。

ドイツ

中等学校を修了して大学入学資格(アビトゥア),高等専門学校入学資格を取得すると,原則希望の高等教育機関に入学可能であるが,定員超過の場合は,各州が共同設置した「中央学籍配分機関」により各高等教育機関の学籍の配分と入学者の決定が行われる。入学者の決定に際しては,一部大学で超過し全大学では収容可能の専攻については,分配手続きを行い,全大学でも収容不可能の専攻については,アビトゥアの評点又は待機期間等による一般選考手続きが行われている。高等専門学校の入学者決定においても,同様の手続きが行われている。原則として,高等教育機関は入学者の決定に関与しないことが,大きな特徴となっている。

 

(用語解説)

SCS(スペース・コラボレーション・システム)

メディア教育開発センターを中心とする全国の国立大学等間の衛星通信を利用した情報通信ネットワークであり,遠隔地の大学,大学院等の間で同時双方向のテレビ会議形式での合同授業,合同ゼミ等を可能にするものである。

ハートシステム

全国の国公私立大学の協力を得て収集した進学に係る大学情報を,NTTのキャプテン通信網を通じて画像の形で提供し,個々の大学の教育研究に関する情報や,志望する専門分野などがどの大学に設置されているかを即座に探し出すことができるシステムである。

学外試験委員制度

試験の評価,学位授与の判定に関して,他の高等教育機関から審査員を招いて試験審査委員会に加え,出題の適切性や評価の妥当性などについて審査を行うもので,高等教育の水準維持のためのイギリス独自の自主的な仕組み(慣行)である。しかし,過去10年あまりの高等教育の拡大に伴って,人的及び財政的に制度の維持が困難になっていると言われている。

GPA制度

米国において一般的に行われている学生の成績評価方法の一種である。一般的な取扱の例は次のとおりである。

 

学生の評価方法として,授業ごとの成績評価を5段階(ABCDF)で評価し,それぞれに対して4・3・2・1・0のグレード・ポイントを付与し,この単位当たり平均(GPA,グレード・ポイント・アベレージ)を出す。

 

単位修得はDでも可能であるが,卒業のためには通算のGPAが2.0以上であることが必要とされる。

 

3セメスター(1年半)連続して,GPAが2.0未満の学生に対しては,退学勧告がなされる(ただし,これは突然退学勧告がなされるわけではなく,学部長等から学習指導・生活指導等を行い,それでも学力不振が続いた場合に退学勧告となる。)。

なお,このような取扱は,1セメスター(半年)に最低12単位,最高18単位の標準的な履修を課した上で成績評価し,行われるのが一般的である。