美術学部二部の改組

 

1)造形表現学部の設置申請

1997.07.08 文部省企画課相談室を訪問
1997.07.25 文部省企画課相談室を訪問
1997.09.17 文部省企画課相談室を訪問
1997.09.30 設置認可1次申請
1997.10.31 設置認可申請の関係資料
1997.11.28 面接審査
1997.12.24 審査過程における意見についての内示
1997.12.26 書面審査会意見への回答
1998.01.20 面接審査
1998.01.26 面接審査
1998.02.12 第1次審査結果伝達
1998.04.30 文部省企画課相談室を訪問
1998.05.01 文部省企画課相談室を訪問
1998.05.12 文部省企画課相談室を訪問
1998.06.30 設置認可2次申請
1998.10.21 面接審査
1998.10.26 実地調査
1998.11.18 改修工事変更及び改修工事追加による変更申請
1998.12.22 造形表現学部設置認可
1999.03.05 変更登記完了届
1999.05.15 履行状況報告
1999.10.01 履行状況報告

 

2)設置の必要性

  本来、表裏一体をなすべき美術学部のデザイン系学科の教育組織が改組転換されることにより、これまでの美術学部と美術学部二部との教育内容の整合性は稀薄化し、教育内容と名称に齟齬が生じている。そこで、美術学部のデザイン系学科の改組転換に伴う教育内容を踏まえつつ、夜間教育における社会的要請による社会人向けの教育内容の見直しが必要となっている。
  転職の増加など雇用環境の変化、さらには多様な勤務形態や新産業への転職などによる社会構造の変化にともない、高度な専門的知識や新しい技能の習得をめざす社会人再教育の必要性がたかまっている。
  夜間教育を行う造形表現学部の社会のニーズを本学で調査したところ、社会人については、回答者の56.4%が「新たな知識や技術の習得のために必要」とし、さらに、43.6%が「美術分野における専門人育成の場として必要」と答えている。また、企業への調査においても、30%の企業が設置の必要性を感じている。次に、夜間における教育を行う場合、何を重視しているかを社会人に対して調査したところ、84.6%が「施設・設備が整っている」、81.4%が「教育スタッフが充実している」、72.1%が「実際に役立つ知識や技術が習得できる」となった。この点については、美術学部二部が独自の教育展開してきたが、今後も一層充実していく必要がある。
  限られた夜間の時間帯の中で、さらに高度な社会人教育の構築をめざすためには、独自の教育プログラムを開発する必要に迫られている。
  また、経済的理由などから高校卒業後就労せざるをえない勤労青年などが、働きながら学ぶことのできる美術・デザイン芸術系の学部の設置は、教育の機会均等の観点からも必要である。
  本学の美術学部二部が、多くの志願者を集めて、その教育研究を充実発展させていることは、夜間教育への期待が高いことを示しており、それらの要請に積極的に応える必要がある。

 

3)教員組織及び施設、設備等の継続性

  教員組織については、今般の計画している改組転換の趣旨に添って、美術学部二部の組織から造形表現学部の組織におおむね移行するものである。施設・設備においても既存の組織のものを全て転用する計画であり、加えて改組に伴う新たな整備を一部行う。
  また、現在、美術学部二部は、上野毛キャンパスを中心として教育研究を展開しているが、これまでも、必要に応じて、美術学部が設置されている八王子キャンパスの運動場をはじめ、附属美術館における博物館実習など、八王子キャンパスの施設、設備を使用してきた。今般の造形表現学部の設置計画においては、教育研究環境のさらなる充実を図る目的から、八王子キャンパスの運動場、体育館等を有効的に活用する計画である。なお、上野毛キャンパスと八王子キャンパスとの距離については、通常の交通機関により片道1時間以内で移動可である。
  管理運営については、これまでの美術学部二部の実績を基に、美術学部とのさらなる連係を図りつつ、教学側の意向等を十分に反映させることにより、教育研究上支障のないよう実態に則した体制の整備を図るものである。
  以上のように、造形表現学部の設置については、既存の美術学部二部における教員組織、施設、設備等を基に計画するものである。

 

4)人材の養成

  造形表現学部は、コミュニケーションのメディアを駆使する人材を育成すると同時に、美を造形する総合的な創造力を持つ人材を養成する。
  第1に、先端技術を熟知すると同時に、創造力に富んだ人材を養成する。今日、マルチメディアと高度な通信ネットワークの急激な拡大により、コミュニケーションの技術は大きな転換期を迎えており、製品のデザインや映像作品の制作現場、出版や印刷などの編集作業、劇場や放送番組制作会社など、いたるところがマルチメディアの先端職場であり、コンピュータが創造の現場でも不可欠な道具となりつつある。芸術文化のデジタル化は、造形表現教育の根本的な見直しを迫り、創造の世界を横断する芸術文化の総合化を促した。殊に、放送・出版・映像・劇場の文化にたずさわる者にはこの総合的なデジタル表現技術が求められる。
  第2に、個性的で独創的な作家精神旺盛な人材を育成する。コミュニケーション技術が高度化すればするほど、人間性豊かなコミュニケーション表現の可能性を切り開き、より一層、美を探求するクリェーターが必要となる。