各種共同研究費の交付
1997.00.00
共同研究「人間と情報メディア環境の相互作用の可視化とモデル化」須永剛司代表。植村朋宏。永井由美子。コンピュータと通信ネットワーク技術の発展により、大量かつ多様な情報が、人々の間で交換されるようになってきている。さまざまなメッセージを獲得しそして発信する人々は、「情報」で構成された世界が、自分たちの周りに広がっていることを感じている。コンピュータ・スクリーン上のダイナミックでインタラクティブな言葉の広がりによって作り出される、その世界を、本研究では「情報メディア空間」と呼ぶことにした。しかし、スクリーンと対面し仕事をする人々が、その「情報メディア空間」の仕組みを把握しそこで豊かな知的活動をすることは決して容易なことではない。そこには「わかること」に関するさまざまな問題が存在している。情報技術が実現するその空間を、人間の知的活動が自由に活力をもって結びつき広がる場、つまり人間の「環境」として形を与えることが不可欠となっている。
本研究では、「情報メディア環境」をデザインするための枠組みを明らかにするために、人間と環境のインタラクション(相互作用)のモデル化を試みた。人間と環境の相互作用に関する先行研究の可視化を行った。J.J.ギブソンが生態学的視覚論で展開した、物理空間における見え、つまり人間と環境の相互作用を中心に関連する議論をコンピューターに可視化した。その応用として、人間と情報メディア空間の相互作用のモデル化を行った。実際の活動体験を可視化する研究では、人々の活動体験が情報メディア空間に翻訳されるときの表現特性を明らかにした。協調活動の可視化研究では、コンピュータを利用する協調活動支援ツールのデザイン事例の分析から、情報メディア空間の構成要素の特性「主体、対象オブジェクト、場」それらの状態遷移のモデルが導かれた。
身体を持った人間が、自己の認識と対象情報との言語的なインタラクションを遂行しながら、現実世界としての活動に言語活動を結びつけている場こそ、情報メディア環境であるということを考察することができた。人間とインタラクトする「情報メディア環境」とは、決してコンピュータ・スクリーンに閉じた世界ではない。物理空間と情報メディア空間が統合するモデルとしてそれをデザインする方法を築いていくことが今後の研究課題である。
科学研究費補助金(文部省)交付金額:250万円(平成9年度)、60万円(平成10年度)。研究種目:科学研究費補助金基盤研究C2一般
。
1997.00.00 共同研究「ミニアチュール絵画の新考察1」大津英敏代表、平松礼二、田中康夫、松下宣廉、高橋幸彦、坂本一樹、辻富佐美、志水賢二、斉藤将。
1998.00.00 共同研究「ミニアチュール絵画の新考察2」大津英敏代表、平松礼二、高橋幸彦、田中康夫、松下宣廉、坂本一樹、辻冨佐美、志水賢二、齋藤将、米倉守。
1999.00.00 共同研究「ミニアチュール絵画の新考察3」大津英敏代表。平松礼二。高橋幸彦。田中康夫。松下宣廉。北條正庸。志水賢二。齋藤将。金森昭憲。杵島洋人。米倉守。第3回、第4回、第5回「小宇宙からの萌芽展」開催を通じミニアチュール絵画を考察する。細密画(インド)サムホール(ヨーロッパ)を資料にし、東洋、西洋の域を超えた、新しい日本の小品細密画を研究する。同テーマでの研究は3年目になるが今回でまとめていきたい。日本画、油画のサムホール制作を通じ、東洋の小品細密と西洋の小品細密の共通点と相違点及び細密画の表現力、技術の徹底分析をする。公開研究発表展の開催、公開研究討論会の開催、研究論文付きの作品集を作成することにより、学生指導の素材とする。教職員の研究発表展は学生への刺激になり学生指導を行うのに効果的である。
多摩美術大学共同研究費交付
1997.00.00 共同研究「情報デザイン学(教科書)の出版」須永剛司代表、伊藤俊治、石田晴久、アンドレアス・シュナイダー、港千尋、楠房子、植村朋弘、久保田晃弘(東京大学、H.9.9月まで在籍)、永井由美子。共同研究の目的:21世紀の美術デザイン教育を展望し、来るべき情報メディアとデザインネットワーク時代の産業・文化の中核的技術となる情報デザイン学の概念構築と研究教育の体系化を試みる。その成果物としての書籍出版を行う。成果書籍は、デザインを学ぼうとする受験生、大学生、大学院生に向けた知と技のガイドとなるにとどまらず、次世代の生産、教育、生活、遊びを作り上げるための視点となる。芸術、技術、科学を融合する創造活動ののあり方をひろく一般に向けて提示するものとなる。共同研究の内容及び効果:デザイン、技術、アートのそれぞれの分野から、「情報とメディア」という共通の問題をとらえる。そこから、それら複数の視座を融合する新しい領域としての「情報メディアの表現を設計」の理論と方法の模索を試みる。そこに見出すことのできる表現と設計の枠組みから、新たな情報の形を生み出すことができる。
多摩美術大学共同研究費交付
1997.00.00
共同研究「関係性としてのエコロジーとインターネット」海老塚耕一代表、和田達也、武正秀治、楠房子、アンドレアス・シュナイダー。共同研究の目的:多摩美術大学のネットワークが、来年度の全学的な利用を前に本年度から開かれました。コミュニケーションネットワークが発達するなかで、私たちはローカルでありながらグローバルである、新しいメディア表現、創作、法則を生みだすことを目指しています。また現在は、データが容易にクローンでき、形、内容、関係性が過剰に操作され、そしてコンピュータの無限性により実空間における物理的な喪失が目につくようになりました。その中で私たちは何を知覚、感知し発信すればよいのか、社会的背景を踏まえてその妥当性を追及する必要があると考えます。そのために私たちは実験的にインターネットを利用することを進めています。共同研究の内容と効果:私たちは物事の関係性に着目し研究を進めています。具体的には様々な分野の方々をお招きし、インターネットと人間の関わり合いについて議論をしていただくシンポジウムを3回にわたり開催します。第1回「関係性としてのエコロジーとインターネット」。第2回「インターネットとエコノミー」。第3回「リレーショナルデザイン、美術学校におけるインターネットワークプロジェクト」。私たちはシンポジウムを通じて物事の関係性について考え、インターネットを超えて私たちを取り巻く環境を把握します。その環境とはローカルでもあり、ネットワークを通じてグローバルでもあります。そしてネットワークを超えたコミュニケーションを模索し、私たちの専門分野である美術やデザインの世界に反映させます。私たち美術学校はウェブサイトを単なる作品展示会場に留めてはいけません。学生と教員が研究をする場であり、まだ生まれて間もない技術を、まだ名もない表現方法へと転換させていくために実験を続けます。現在行っている研究がこれからの美術やデザインを担う学生たちに受け継がれ、さらなる発展を遂げることが私たちの最大の目的であり効果です。
多摩美術大学共同研究費交付
1997.00.00 共同研究「現実舞台表現とCG(仮想空間)を融合し舞台表現を創造:空間創造計画」鈴木志郎廉代表、星野章、庄山晃、河原和、桧山茂雄、石井茂、加納豊美、二宮秀雄、富田友紀子、大平勝弘。共同研究の目的:多摩美術大学 美術学2部芸術学科は、映像コース、演劇コース、劇場美術コースと3つのコースがあり、いずれの専門も、現在の表現メディアをして考えた場合、それぞれの専門に閉じ篭っていることはできない。それで、芸術学科全体を融合しどのような表現ができるか。それを研究の目的とする。1980年代以降、電子メディアの発達はめざましく、中でもパーソナルコンピュータの普及には目を見張るものがある。実際、芸術の世界ににもその活用を巡り、様々な試みがなされていることは、周知の事実である。そこで、現在、表現の場として最も身近にある、上野毛講堂という多目的な使用の究めて困難な劇場施設と、電子メディアを有効的利用することによって、その空間を一層活用することができる。音(Soundscape)と光(Lightscape)と人間(Humanscape=人間模様)によって様々な雰囲気を創造し、空間表現における最新メディアの活用方法を研究、現実舞台とCGという仮想空間を融合した舞台美術表現を創造する。言い替えれば、コンピュータを通したグラフィックをプロジェクターと接続し、オートマチックに変化する舞台装置を製作。舞台芸術の発展的未来を考察する。そもそも、劇空間における色(R、G、B)とコンピュータにおける色は同定義上にあり、そこに何らかの共通点を見出し、Lighting(光をあてるという行為)によるR、G、BとElectronic上のR、G、Bを相対化してみることによって、その表現にとっての可能性を探る。共同研究の内容及び効果:芸術学科を構成する「映像」「劇場美術」「演劇」の3つのコースの特性を生かし、教員と学生とが共同で1つの空間作品を創造。新旧、様々な表現メディア(映像、CG、照明、音響効果、立体造形、舞踏等)を組合せ、大きくは、映像と身体を繋ぐものとして空間を構成し、45分間のパフォーマンス作品とする。この作品の中では、ある人間の内的感情を表現の基とし、明確なストーリーは提示せず、劇場内でのコミュニケーションの中で、メディア同士がぶつかったり、融和したりしながら、同じ時空間を行進し、ある者はそれを懐かしい胎内にいるようだと形容したり、ある者は日常ではない造り込まれた空間に、吸い込まれ、成城に物を見る能力を奪われ、実在しないモヤのような闇を感じたというような感想もあった。この発表の結果、学内外の教員、学生、及び受験生に、少々変わった構成要素を持つ、「芸術学科」の表現に対する1つの方向性を示し、共感を持ってもらうことができたと考える。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00 共同研究「第2回東京国際ミニプリント・トリエンナーレによる国際交流と版画の研究
」小作青史代表。教育研究概要
。本学では「社会に開かれた大学教育の理念」に基づき、国際的な視野に立つ実践と学際化に対応する美術教育の研究を推進してきた。1995年(平成7年)に第1回東京国際ミニプリント・トリエンナーレの開催を計画したのも、その理念の具体化のひとつである。外務省、文化庁、町田国際版画美術館等の後援により、公募形式で世界に向けて版画作品の出品を呼びかけたところ、67カ国から1815名(約3,500点)の応募があった。この作品群を版画科、芸術学科、美術館等との共同作業と研究により、審査、整理、分類し、その内322名(324点)を本学の美術館に於いて展示すると共に、国際交流基金の助成金を受けて、カタログを刊行できた。この展覧会は、NHKの日曜美術館に於いても、大学が企画したユニークな展覧会として放。本年(平成10年)は、トリエンナーレの第2回の公募として、大学のインターネットも使って世界に呼びかけたところ、前回をはるかに上まわる82カ国から2,320名(約4,500点)の応募があり、現在はそのデータを整理、分析しながら、カタログ編集を準備しているところである。今回は本大学美術館での展覧会(10月20日〜11月30日)を開催した後、約1年余りをかけて日本各地の美術館等に於いても巡回展を催すことが決定している。
経常費補助金特別補助(日本私立学校振興・共済事業団)教育研究分類:ハ(国際的視野の涵養のための教育研究)交付金額:100万円
1998.00.00 共同研究「宗教美術の総合的研究1」秦剛平代表、横田忠司、本江邦夫、諸川春樹、中森義宗、辻佐保子:元お茶の水女子大学教授、水野敬三郎:東京芸術大学、宮庄哲夫:同志社大学、田辺勝美:古代オリエント博物館、大西薫、渡辺健:治共立女子大学。共同研究の目的:宗教は、人間の存在の根源にあるものであり、宗教美術は具体的な表現である。生と死、復活、神の無限性と人間の有限性などは、人間の存在そのものに関わる問題でありそれらはさまざまな形で芸術の中に表されてきた。本研究は、美術大学という活動基盤を生かし、宗教美術が歴史的にどのように発生・展開・変化していったかを総合的に研究することを目的としている。宗教の歴史、芸術の歴史が長く、深く息づいてきたように、我々の研究活動も息の長い、奥の深いものへと発展させてゆかねばならない。それによってゆくゆくは「宗教美術研究所」の設立に繋がるような成果を残していけると考えている。また、東西の様々な宗教美術における表現の相違や共通点を見いだしていくには、幅広い見地から宗教美術を研究しうる共同組織が必要である。本学以外の研究者に参与を求めているのはそのためである。また恒例である公開講座の実施(今年度は第8回)と研究紀要の発刊(今年度は6号発刊予定)は、専門家の研究成果を広く一般に公開するものとして、今では本研究会の存在と共に全国に知られる所となり、全国の研究団体・寺院との交流も一層盛んなものとなった。研究者個人の研究活動共々、今年度も本学所属の共同研究会としての活動を活発に展開させてゆく所存であるが、今年度より、2001年の宗教美術研究会発足10周年に向け、研究成果を集大成する準備にも着手したいと考えている。そのための具体的な活動計画については、毎月行われる定例研究会の中で検討してゆく予定である。1.関連図書の収集:昨年度に引き続き、図書の収集・充実化をはかる。特に、近年次々と発行されている名著の復刻版や、図版の充実した豪華本、また宗教美術関連の展覧会カタログ等についても購入を検討し、よりスムーズな研究活動ができる環境を整えてゆく。2.メンバーの専門分野別の個別研究の推進:昨年度は調査旅行を殆ど実施できなかったが、今年は国内における調査活動を主軸として作品資料の収集・整理に当たりたい。また、それら調査結果に基づき、定期的な研究活動を実施したい。3.公開講座の実施:公開講座は、外部の研究者を招聘し、広く一般にも参集を求めて実施される。第8回目を迎える今年度は、昨年度盛況のうちに終了した第7回目の講座の内容を反映させ、再度「宗教美術における終末と再生」という共通テーマを設定し、特別講義と共にシンポジウムを実施したい。その中で行われた討議の内容に関しては、報告書を作成し、内外にその成果をアピールしたいと考える。4.研究紀要の発行:公開講座における研究発表、ならびに学内研究者による1年間の研究成果が基本的内容なる研究紀要も、今年度で第6号目発刊となる。この紀要の交換によって、全国的なレベルで本研究会の存在が知られるようになったという現状を踏まえ、より一層の内容の充実化をはかりたい。6号発刊は、来年3月末日の予定である。
多摩美術大学共同研究費交付
1999.00.00 共同研究「宗教美術の総合的研究2」
諸川春樹代表。横田忠司。秦剛平。中森義宗。近藤秀實。大西薫。宮庄哲夫:同志社大学。田辺勝美:古代オリエント博物館。ヤマンラール水野美奈子:慶応義塾大学。宗教は単に素朴な民間信仰の総称ではなく、むしろ人間社会の秩序維持の根幹に位置するものだと言えるだろう。無信仰といわれる現代の日本においても、資本主義経済を、あるいは先端の科学技術に対する信頼を信仰とあえて呼ぶことも可能かもしれない。本共同研究の目的は、人類が過去においてどのような宗教活動を展開したのか、という問題を主として美術表現の方面から明らかにすることにある。地域的にも、また時間的にも大きな拡がりを持つ宗教美術を包括的に論じることは困難であり、むしろいくつかの問題を設定し、それを調査研究することで、宗教美術の総合的研究が重層化され、体系化されるものと確信する。21世紀への転換期を目前として、近年は終末論への関心が高まり、本研究会もそれに呼応するように問題を限定して研究を進めてきた。本年度はまさにそのまとめの時期にあたっており、その研究を通して、社会における宗教と美術との関係を少しでも明らかにできればよいと考える。1.関連図書の収集:本学新校舎が建築され、学科にも研究室が数多く設けられて、研究活動に良好な環境も整備されつつある。本年度もまた前年同様このような研究環境に対応できるような図書の充実をはかりたい。2.メンバーの専門分野別・個別研究の推進:国内の宗教美術に関する調査研究(大西・横田担当)を主軸として、ユダヤ教美術(秦・諸川)、
キリスト教美術(中森・諸川)、道教及び仏教美術(近藤)の諸分野の研究を推進し、定例会にて発表、議論を行う。3.公開講座の実施:すでに本学の宗教美術研究会の存在は美術愛好家から宗教学研究者までかなり広汎に知られており、研究会の外部に存在するそうした方々との意見の交換、交流のために、公開講座を開催する。時期は10月下旬を予定している。4.研究紀要の発行:公開講座における研究発表、並びに学内研究者による研究成果を紀要の形にまとめ、発行する。それは本研究会のみならず、本学の広報活動にも寄与するところが大きいと確信する。
多摩美術大学共同研究費
1998.00.00 共同研究「日本における場所(Place)の形成原理に関する基礎研究」山下泉代表、清田義英、田淵諭、岸本章、松澤穣、永野義紀:東和大学。共同研究の目的:我々の父祖は、自然に何らかの手を加え、特定の環境すなわち「場所」を形成して住、人間性を保って生きてきた。しかし我が国では、高度経済成長期を境に、優れた「場所」は破壊され、新しい有意義な「場所」はつくられること少なく、危機的な状況を現在にもたらしている。これは日本のみならず世界的に共通する現象で、既に地理学では1960年代後半から、地方…景観のレベルにおいてであるが、新たな方向性と研究成果が報告されはじめている。建築学の分野では、建築がすなわち「場所」を構成する直接的手段であることから、まさに我々の面前につきつけられた問題といえよう。従って、本研究の目的は、日本国内の、既存の伝統的に優れた「場所」を選び出して調査・研究し、新たに「場所」を設計する際の、指針として役立つ分析と方法論を確立するための、基礎研究である。共同研究の内容:「場所」の概念を『生活が生起し構造化された世界で、独自の性格を有する空間』と把え、環境の各レベル(国−地方−景観−定住地−建物)にみられる、限定づけられ、囲いこまれ、中心化し、焦点となる空間にあてはめることができると理解する。当研究では、日本国内の、既存の伝統的な優れた「場所」を実地に調査にあたるのだが、対象を いて考察したい。それには調査は単に物理的計測だけで終わらず、共同体の成員からの聞き取りや行動調査等によって、共同体内での「場所」の在り方をも調査し、「場所」の特性や意味解明したいと思っている。昨年の第一年次は、基礎資料を集め、基礎学習に終始したが、その中で、今年次に調査すべき一カ所を選出した。本年の第二年次は更に調査すべき「場所」をきめ、少なくとも一カ所は詳しく調査する。第三年次には、タイプの異なる「場所」を比較検討しながら、特性を明瞭化し、その原理を考察する。こうして、「場所」(ここでは建築化環境)が、共同体においていかに重要であり、そのつくられ方による効果の及ぼし方、又は不適切さを、また現代では、かつて有効だった「場所」の破壊され方による荒廃などを浮き彫りにできれば、「場所」のあり方と重要性を実証できることとなり、有効な「場所」の設計指針をうちたてる上での基本的第一歩になるものと考える。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00
共同研究「マルチメディア研究デザインと教育:デジタルアーカイブとネットワーク」伊藤俊治。大淵武美。港千尋。須永剛司。椹木野衣。高橋周平。桂英司:東京造形大学.共同研究の目的:1.新しいマルチメディア時代に必要なデザインの手法、教育の方向を探求し、その成果を実際の大学院教育、研究のなかで実験してみる。2.美術大学において、インターネット等のネットワーク機能と、データベース等のアーカイウ機能をどう有機的にむすびつけてゆくのかを研究する。3.従来の表現領域、学問領域を統合するような新しいプロジェクト(CD-ROM,DVD,イベント,www等)を起こし、多摩美術大学発の新しいアート・フォーラムを提案してゆく。共同研究の内容:まずおおまかな基本方針を全員で討議し、固め、分担とスケジュ−リングをおこない、実行体制を整えてゆく。ホームページ作成やデータベース作成についての具体的な段取りをし、個別の研究成果や共同研究成果や共同の研究資料を統合してゆくためのディスカッションをする。そののちも定期的に研究の発表と討議をおこない、随時、シンポジウムやパネルディスカッション形式の公開セッションを実現して、内容を深めてゆく。これらの成果は、本学紀要における研究報告、ホームページの作成、ワークショップの開催、データベースの公開、シンポジウムの実施、単行本など手段を通じて発信し、多摩美術大学のイメージを浸透させてゆくだろう。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00 共同研究「劇場文化の現在ー今、劇場の文化環境は1」福島勝則代表、清水邦夫、庄山晃、河原和、加納豊美、二宮秀雄、大平勝弘、萩原朔美。
1999.00.00 共同研究「劇場文化の現在ー今、劇場の文化環境は2」福島勝則代表、清水邦夫、庄山晃、河原和、加納豊美、二宮秀雄、大平勝弘、萩原朔美、海老塚耕一。共同研究の目的:第二国立劇場の開場など、劇場を拠点とする文化・創造活動はますます盛んである。
この調査・研究グループは、この劇場の創造的営為を〈劇場文化〉として総合的に把え、今日この劇場文化とはどのような種類や実態を有し、また地域の人々や都市住民といかなる連携にあるのかなど、いくつかの問題を明らかにしつつ、関連資料の収集とビデオによる記録収録を目的とする。その重点項目は次の通りである。(1)劇場そのものの建築上の基礎資料と上演記録の収集(都市型劇場と村落劇場)
(2)殊に地方の村落劇場の調査と再興・活性化への試みを調査し、地元へ提言する。(3)最も近隣の調査ポイントとして、あきる野市菅生の組立舞台とそこでの秋川歌舞伎上演全行程をビデオ収録する。
4)この調査・研究の背かは来年度(平成11年)開催が決定している日本演劇学会全国大会「開催校・多摩美術大学、担当理事・福島」にて開催校研究として報告する。尚、この調査・研究は平成6年および7年と続けて来た「劇場の総合的研究」の成果を基盤に、さらにこれを継続し、発展させることを目指している。共同研究の内容及び効果:(1)夏期休暇中および11月連休中に現地調査派遣Aを実施する。・調査地点は村落劇場の集中する岐阜県下とし隣接する長野県山間地域を含む。・3名で1班とし2班を適宜派遣し、両者の作業打ち合わせを重ねて資料蓄積。・収集された資料は報告小論として本学紀要に掲載し、スケッチや写真はスライド化し、ビデオは編集し、短編記録とする。
(2)都市部の先端的新設劇場および劇場文化創造の現状調査に現地調査派遣Bを実施。・調査対象劇場は水戸芸術館、さいたま芸術劇場、浜松芸術文化センター、第二国立劇場、愛知芸術文化センター、など10劇場を予定。・各劇場の建設経緯、施設図面、運営管理システム、企画製作、観客対策などの調査と資料収集。・これらは関係授業の基礎資料として利用されるようファイル化する。(3)岐阜県益田郡下呂町門和佐 白山神社白雲座大歌舞伎の調査に特別班を編制する。・この上演予定日は11月2日・3日の白山神社祭礼、これに集中取材のため合宿。・適宜ビデオ収録・写真撮影のため派遣取材し、ゼミの学生及び卒業生にも取材参加させる。・取材ビデオは短編記録映像として完全作品化する。教材等の利用に供する。・演劇学会のための研究報告として資料小冊を作成する。・収集資料に基づき本学研究紀要に「劇場の研究(2)」として小論を執筆掲載。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00
共同研究「ジャンル、メディアを越えた総合的表現空間の創造と多摩美術大学上野毛キャンパスの活性化」鈴木志郎康代表
、星野章、庄山晃、河原和、檜山茂雄
、石井茂、加納豊美、二宮秀雄、富田友紀子、大平勝弘、内野徹、植村朋弘。共同研究の目的:昨年の研究を継続する。各研究参加者の専門分野への経験と実績を踏まえつつ、ジャンル、メディアを越えた総合的表現空間を創造し、空間芸術の発展的未来を考察する。多くの観客を動員し、また本年度入試において、それを見たことで二部芸術学科を目指すことを決心した受験生が多数いた事からわかるように、昨年の9月19〜21日の期間に発表された二部芸術学科共同研究 空間創造計画「カラザ」は多くの学外の人々を惹き付ける事となった。ジャンル、メディアを越えた表現こそすべての人間に与えられた創造への可能性であり、生涯教育の場としての二部芸術学科が目指す理想でもある。あの時に得た事を無駄にしないためにも研究を継続せねばならない。昨年の結果を単なる「体験」で終わらせるのではなく、21世紀の生涯教育の場への「財産」としていく。来年度以降もこの研究の継続を予定している。共同研究の内容及び効果:身体、映像、声、照明、音響、衣装、息づかい、そして、汗。総合的空間表現作品はまさに空気を揺さぶるコミュニケーションであり、その空気は観る者の心を揺さぶる。それはまた、「行為」による芸術作品の価値の証明でもあるのだ。不安や恐れはない。伝わることだけを信じて、やる。また、当キャンパスにおいて中心地的空間であるといえる講堂、中庭、あるいは映像スタジオを研究発表場所とし、学外の多くの人々を当キャンパスに招き入れ、多摩美術大学上野毛キャンパスの存在を学外に強くアピールする。よって、二部芸術学科の研究室だけでこれを行うのではなく、上野毛キャンパス内のすべての学生と他学科の先生方にも参加を呼びかける。それに加えて、インターネットを使い、情報発信地として他大学、作家、研究機関、美術館、美術学校、キュレーター、評論家、そしてマスメディアとの充実した関係を形成していく。双方向なネットワーク構築していくことで、多摩美術大学上野毛キャンパスとそこに学ぶ学生を世界へと結びつけていく。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00
共同研究「大学における芸術と社会人教育についての研究」米倉守代表、佐渡谷紀代子、樋口祐子、伊藤洋子、小穴晶子、松浦弘明、高橋幸彦、堀内正弘、加納豊美。共同研究の目的:芸術は、美しい生き方を探る「生の指標」として、成人教育に最も適したものだが、理論面と実技面の専門家を擁する美術大学でどのような実践教育が可能かを、三年計画で考察研究する。共同研究の内容及び効果。初年度は、本校二部設立以来の社会人入学生(平成元年〜在校生)を対象に本校での授業内容、社会との関わり等のアンケートを取っています。
アンケートをもとにいくつかのケースを抽出して各研究者が面接インタビューをし、社会人と芸術学習の成果を検証します。これらのデータをもとに都心の美術大学で社会人として学び、昼間社会人として生きてゆく生活実態をつかみ、美術による生涯学習の理想を探ります。社会人「学生」ではなく教職員並みの一般人としての学習交流の場として大学、美術の発生現場(都内各地)を考え、私たちの教育法の指標をつくる計画です。
多摩美術大学共同研究費交付
1999.00.00 共同研究「大学に於ける芸術と社会人教育についての研究2」米倉守代表。佐渡谷紀代子。樋口祐子。伊藤洋子。小穴晶子。松浦弘明。高橋幸彦。堀内正弘。加納豊美。芸術は、美しい生き方を探る「生の指標」として、成人教育に最も適したものだが、理論面と実技面の専門家を擁する美術大学でどのような実践教育が可能かを、三年計画で考察研究する。他学科との協力ですすめますが、第一年度は本学卒業生、在校生の社会人入学者のアンケート、進路調査を実施、引続いて第二年度は学外の職者を呼んで公開討論を予定している。本学への社会人入学者、卒業生全員に、大学の現状についてのアンケートを実施。それに基づいた30人を抽出して、担当者がそれぞれインタビューを終えた。図書館の充実、日曜日開講など盛りだくさんの不満と教養がついたなどの内容をまとめ、中間報告書を制作している。この資料を基礎に、研究者の討論会、シンポジウムを企画している。はじめての調査ゆえ貴重なものになったと思っている。
多摩美術大学共同研究費交付
1998.00.00
共同研究「現代美術基礎資料研究」峯村敏明代表、萩原朔美、建畠晢、村山康男、諸川春樹、海老塚耕一、小林宏道、渡辺嘉幸、川島亮子、小田龍哉、大倉麗菜。
1999.00.00
共同研究「現代美術基礎資料研究」村山康男代表者。峯村敏明。萩原朔美。建畠晢。海老塚耕一。横田忠司。近藤秀實。諸川春樹。本江邦夫。渡邉嘉幸。川島亮子。小林宏道。上崎干。松井勝正。浅倉祐一朗:三鷹市美術ギャラリー。共同研究の目的:現代美術の基礎資料を収集・整理し、その資料を活用して研究活動を推進し、あるいは支援する方法やシステム並びに諸施設、諸設備を研究・整備する。これはここ数年の内に芸術学科内に現代美術資料室を設置し、運営していくための準備作業として位置づけられる。それと平行してこの共同研究によって大学院での、またさらには学部での教育・研究を高度なものにしてゆくことも期待される。また全学的な規模での現代美術資料センターの構想へ向けて、美術館や図書館との緊密な協力体制を確立することも、今回の共同研究の重要な目的である。昨年度に続いて今年度も共同研究を継続することが認められたので、今回は新しく学外の美術館とのネットワークも徐々に拡げて行くため、とりあえず、三鷹市美術ギャラリーの主任学芸員を研究メンバーに加える。共同研究の内容
及び効果:1)芸術学科研究室の所蔵する現代美術資料の整理・統合と目録化の可能性を検討する。2)今後収集すべき現代美術資料を既存の資料の性格を踏まえながら検討する。3)現代美術資料室(現在のところ本館205号室と2号館401号室)の諸設備の検討と整備。とりわけコンピュータ関連の設備の検討。(文献資料、さらに今後は画像資料のデータ・ベース化の手段として、インターネットによる様々な学術データ・ベースへのアクセスの手段として、インターネットを利用した様々な情報発信・受信活動の手段として)4)現代美術資料室のスタッフの役割について検討する。資料室のスタッフは単に資料を収集・整理・目録化するだけでなく、芸術学科さらには全学の教員、大学院生並びに学部学生の研究活動を支援する役割も重要である。(
各種の学術データ・ベースを熟知し利用者に最適のデータ・ベースへのアクセスを保証する。アクセスのコンピュータ上の手続きのガイドなど)5)こうしたスタッフの養成と人員確保について検討する。6)現代美術資料室が整備されたとき、誰がどのように利用できるのか、そのガイド・ラインを検討する。以上の六点に関して随時研究会を開いて検討する。同時に資料室の整備状況をその都度報告し、その進行状態を調整する。資料室の整備によって芸術学科を含め全学の学部・大学院での教育・研究体制を高度化する。それはまた現今の情報環境の急速な高度化に対応してゆくための方策でもある。本学内部の他の機関、とりわけ図書館や美術館との緊密なネットワークを形成し、大学の多様な活動に積極的に参加する。学外の図書館や美術館ともネットワークを形成することで社会教育・生涯教育に貢献することができる。
多摩美術大学共同研究費交付
1999.00.00
共同研究「劇場文化の現在ー文化の形成とマネジメント」福島勝則
、清水邦夫代表、庄山晃、河原和、加納豊美
、二宮秀雄、富田友紀子、大平勝弘
、内野徹、萩原朔美、海老塚耕一、村穂秀児 。共同研究の目的:98年度に引き続き、劇場を巡る文化創造の諸問題を研究課題に掲げ、殊に今日のわが国の劇場文化の趨勢および現状について関係資料の収集に努めたい。新旧の劇場およびそこでの上演活動を取材・調査することは、劇場が都市や地域社会の文化シンボルとして、いかなる役割を果たし得るかを考えるヒントを与えてくれるに違いない。この結果を文化創造関連授業に生かし、また各種機関の要請に応え得るようビデオ作品としても完成したい。共同研究の内容及び効果(1)今にも消滅しそうな貴重な劇場およびそこでの生き生きした上演の姿を現地取材し、印刷物あるいはビデオ映像によって取材記録をまとめ、広く公開する。(2) 同時に先端的な現代の劇場についても、その基本資料を収集すると同時に、劇場を核とする文化創造のシステムおよびマネージメントの現況を調査する。この調査・取材結果は、’99年度・日本演劇学会全国大会を本学・上野毛校舎にて開催(5月28・29・30の三日間)するに当たって、写真・図版による展示、ビデオを交えた報告として研究発表する。・ビデオ映像作品として図書館・研究室に常備し、教育資料に。・報告書として、取材記録を冊子として提出。・日本演劇学会において口頭研究発表(二宮秀雄)。
多摩美術大学共同研究費交付 http://www.tamabi.ac.jp/geigaku-k/99gekibunka/
1999.00.00 共同研究「久里洋二アニメーション作品と60年代の芸術運動の研究」鈴木志郎康代表
、萩原朔美、渡辺達正、海老塚耕一
、秋山孝、石井茂、檜山茂雄、星野章、片山雅博
、富田友紀子、内野徹
、大平勝弘、歌川恵子、林智明、村穂秀児。共同研究の目的:久里洋二氏は戦後、絵画・漫画・イラストレーターとして出発し、いち早く、60年代に独特の映像センスと新鮮な世界の表現活動を展開し、今日、映像に多大な関心をよせていた草分け的存在の一人といえます。昨年11月1日、多摩美術大学特別企画‘アニメーションに見る久里洋二の世界’を500名あまりの一般久里洋二ファンと在学生を集めての上映・講演会は、成功裡に終了しました。しかし、60年代を駆け抜けた久里洋二氏1000本作品のほんの一部であることを思えば、しばし時間をかけ、久里洋二アニメーション研究は成果とすべき対象であることを、一同感じるにいたりました。久里洋二作品と人物研究を通して、久里アニメーションの表現世界の系統的研究/久里アニメーションの60年代と作品内容の普遍性/作家・久里洋二と60年代の表現メディアとの関係/久里アニメーション作品の教育利用についての‘まとめ’を考える。共同研究の内容及び効果:本年は昨年に引き続き多くの作品を見る必要から、第2回目の上映・講演を行います。当時氏に影響を与えた所蔵の海外作家作品をまじえながら紹介され、研究内容はそれぞれの領域性から60年代の芸術運動の研究/文化形態/表現形態研究/アニメーション形態研究/映像文化史研究/今後にむけての映像資料管理と運用研究/情報形態研究などと広い範囲となります。
これらは、研究報告にまとめられます。(効果)本研究組織は、久里洋二氏の表現メディアの広さ・独自性より、八王子・上野毛両校舎における作品研究と教員の接点を設けることができました。これらをもとに、相互の交流をはかるきっかけともなりました。研究の全体組織は久里洋二アニメーション研究会としてすでに発足し、在学生・卒業生・一般久里洋二ファンを含んだ研究会としての文化・研究活動を展開しています。これは、多摩美術大学の地域・社会にむけての活動の場といえます。今後、研究報告は大学紀要・
各自所属専門機関誌へ入稿準備を推進し、次回の上映・講演時には、研究冊子配布を考える。
多摩美術大学共同研究費交付。http://www.tamabi.ac.jp/geigaku-k/kuri/default.htm
1999.00.00 共同研究「大学と地域コミュニティの関わり方の研究2」山中玄三郎代表、小笠原登志子、堀内正弘、高味壽雄、武正秀治、鋼利治、米倉守
、須永剛司、原昭夫:世田谷区都市整備部部長。共同研究の目的:地域コミュニティと大学の関わり方について研究する。地域コミュニティがもつ今日的な課題として、自由時間の拡大や高齢化社会の進展に対応した生涯学習の機会を提供する必要性、あるいは地域の産業の活性化や、地域の特長や文化に根ざしたバランスのとれた地域社会構造、及び文化的なネットワークづくりの必要性などがある。
これらの課題に対して地域に立地する大学が貢献できる可能性として、大学がもつ機能や人材の活用による社会人向けの講座などを開設するほか、地域に立地する他の教育機関、企業、NPOなどの多様なセクター間の連携を図るための場を提供することなどが考えられる。本学が立地する世田谷区には、専門性の高い大学が多く立地するが、本学の役割としては、アート、デザインといった文化性の高い講座やワークショップの開設、あるいはインターネットなどの情報メディアを活用したビジュアルコミュニケーションによる、地域としての情報発信機能の強化などによって、文化的な環境づくりに寄与することが考えられる。本研究では本学が立地する世田谷区をモデルケースとして取り上げ、シンポジウムの開催、テーマに関連する学生課題等の成果の展覧会や出版物などを通して、研究の成果を公開する。
共同研究の内容及び効果:初年度の研究の一環として、コミュニティの構築における情報メディアの活用方法についての基礎調査を行った。その成果は、10月に本学で開催された情報デザイン国際会議(ビジョンプラス7)におけるひとつのセッションとして、「コミュニティの構築」というテーマで展開し、モデレーターの担当、および外部スピーカの招聘に協力した。その他に、世田谷区における街づくりNPOをはじめとする新しい住民参加の傾向の調査を行い、一部のグループに対しては本学の施設の開放、及び本学の施設を利用したホームページの開設を支援することで、大学と地域NPOの連携のあり方のモデルスタディとしている。
多摩美術大学共同研究費交付
1999.00.00 共同研究「20世紀中葉のニューヨーク近代美術館の活動とその美学的意義」村山康男代表。20世紀中葉のニューヨーク近代美術館の活動が、アメリカ美術、とりわけ抽象表現主義やポップ・アート更にはミニマル・アートの成立にとってどのような美術史的・美学的意義を持っていたのかを明らかにする。そのためMOMAの学芸員として専らアメリカ美術展の組織に当たっていたドロシー・ミラー女史(1904〜)が1942年から1963年にかけて組織した8つの展覧会の内容と、それに対する美学的反響(新聞や雑誌の展評)を克明に跡づけると同時に、同時期にMOMAの他の展覧会など(とりわけ同僚の学芸員フランク・オハラの活動)との連関や、更には当時のアメリカ美学思想や社会状況との関連を解明してゆく。
科学研究費補助金(日本学術振興会) 交付金額:70万円(平成11年度)、50万円(平成12年度)
。50万円(平成13年度)、50万円(平成14年度) 。研究種目:基盤研究(C)(2)一般
。
1999.00.00
共同研究「学習支援における本物性とゲーム感覚についての研究」楠房子代表。石田晴久。吉橋昭夫。吉川厚:NTT先端技術総合研究所コミュニケーション科学基礎研究所。共同学習支援システムには、学習者の視点からみた「本物性(authenticity)」と知識を楽しく学ぶという「ゲーム感覚」の2点が重要である。この2点を備えたシステムを実現し、学校教育の現場に普及させるために我々は次の方法で接近する。
小学生との交流によって、子供の活動の文脈を理解する。そして理解しやすいデザインとはどういうものなのか、またどんな内容に興味をもつのかということを見出し、コンテンツを絞り込むための方法論を確立する。
賦習者は、「自分で問題をハンドリングでき、結果を得る」というゲーム感覚で、コンテンツを学ぶと同時に、コンテンツそのものをリフレクションするというインタラクションの中から生徒同志の間の双方向的な知識の獲得が可能なシステムの実現と開発手法を確立する。
科学研究費補助金(日本学術振興会) 交付金額:220万円(平成11年度)、150万円(平成12年度)
。研究種目:基盤研究C2一般 。
1999.00.00
共同研究「情報デザイン学に関する高度な教育研究体系の確立」須永剛司代表。石田晴久。アンドレアス・シュナイダ。永井由美子。油井正弘。太田幸夫。猪股裕一。陣内利博:武蔵野美術大学。伊東祥次:NTTインターコミュニケーションセンター。情報技術の発展とその社会的な普及にともない、さまざまな情報のはたらきに形を与える総合的専門技術としての「情報デザイン学」の必要性はますます高まっている。本研究は、情報デザイン学をコミュニケーションの学、そして広く人間共同体の形成を指向する学と捉え、その教育研究体系の確立を目標とする。そのために、1)情報デザイン学に包含されるべき関連研究領域をザーベイし、その課題群を収集整理する。2)情報デザインの課題とその解を求める方法の体系化を行う。3)その体系から高度な教育研究カリキュラムの開発を行う。また、研究1)および2)を展開する手段として国際シンポジウムを開催する。シンポジウムのテーマは「情報デザインからコミュニティの構築を考える」とする。内容:1.情報デザイン学に包含されるべき関連研究領域をサーベイし、その課題群を収集整理することを行う。各内外の関連領域の研究と実践を調査する。国際シンポジウムの全体計画を立案する。国際シンポジウムの講演プログラムを策定する。国内外の研究発表者との準備交流、シンポジウム参加者を募集する。2.課題とその解を求める方法の体系化を行う。国内外の研究発表者の招へい。国際シンポジウムを実施することから情報デザイン関連研究実践の課題領域に関する討議を行う。討議結果をまとめ、報告書を作成する。効果:開催する国際シンポジウム・ニュースレターの発行。インターネットによる研究成果の公開。日本デザイン学会発表。オーストリア、情報デザイン会議、ビジョンプラス9での発表。デザイン関連雑誌への記事掲載。
多摩美術大学共同研究費交付。http://www.visionplus7.com/tokyo/welcome.html
1999.00.00
共同研究「瀧口修造・北園克衛文庫資料研究」平出隆代表。峯村敏明。萩原朔美。建畠晢。村山康男。海老塚耕一。本江邦夫。渡邉嘉幸。大倉麗菜。原島恵。恩蔵昇。小林宏道。上崎干。松井勝正。土渕信彦:瀧口研究家・コレクター。大谷省吾:国立近代美術館。藁科英也:千葉市美術館。八木宏昌:富山県立近代美術館。野田尚稔:サントリー美術館。前田富士男:慶應義塾大学。瀧口修造・北園克衛文庫の資料を更に拡充・整理するとともに、その資料を活用し、研究をはじめとして様々な企画を実現する。両文庫を拡充し、活用することで、本学の学部・大学院での教育・研究の水準を高度化するだけでなく、更に資料の公開(資料展示室ならびに閲覧室の開設、資料目録や資料研究・紹介をインターネット上のウェブ・サイトに公開すること、両文庫に関する資料展の開催、両文庫に関する講演や公開講座の企画)を通じて、学外の研究者の研究や地域社会の生涯教育に貢献することを目的とする。1.
共同研究の内容は次の通りである。1)
瀧口・北園関連資料の調査、収集、整理。基礎資料の収集に重点を置く。瀧口・北園に関連する文献・資料、関係雑誌のバック・ナンバー、関係作家・評論家の著作等を中心とするが、必要に応じて画像、音響、映像資料をも収集する。また収集した資料の分類・整理にはパソコンを積極的に利用し、データ・ベースの構築を有効に行なう。2)
研究分担者による専門分野の個別研究。研究分担者は各自の専門分野に関して個別の研究を進める。3)
研究会活動。定例研究会は学外の参加者の日程を考慮して、2ヶ月に1回くらいのペースで行なう。そこでは資料情報の交換、資料収集や資料整理の方針の検討、資料展示室、資料閲覧室の開設とその運営に向けての議論、インターネット上のウェブ・サイトの構築、資料展・講演・公開講座の企画などを行なう。また必要に応じて個別研究の中間報告を行なう。4)資料展示室、資料閲覧室の開設とその運営。5)資料展、講演、公開講座、シンポジウムの実施。6)研究成果の報告。収集資料の目録作成、データ・ベースの構築、個別研究の紀要への発表、或いは論文集の刊行。上記5)のかたちでの研究成果の発表。2.
共同研究の効果。1) 学外の4美術館と1大学付属研究機関と連係することで、資料情報を共有しその収集を効果的に分担できる。2)
こうしたネットワークのもとでの研究や様々な企画は、専門性にすぐれ相互の教育・研究の水準を飛躍的に高める。3)
資料展、講演、公開講座などの企画は研究成果を専門の研究者だけではなく、社会の幅広い階層にまでわかり易く伝えることができ、生涯教育への多大な貢献をなすと言える。
多摩美術大学共同研究費交付。http://www.tamabi.ac.jp/tosho/takiguchi/tw-cm.htm
1999.00.00
共同研究「小学生の創造性支援の研究」楠房子代表。須永剛司。田口敦子。和田達也。橋本京子。野口裕史。田淵論。江平秀子:八王子市立鑓水小学校。清水満久:田無市立田無小学校。寺木秀一:東京都立教育研究所・小中学。岡島政吉:八王子市立鑓水小学校。遠田毅:八王子市立鑓水小学校。鈴木春樹:八王子市教育委員会。近年の小学校におけるカリキュラムは、教科を離れた総合学習の時間もふえ、教科教育を中心にした授業から、複合型の創造性を強く求める授業へと、内容が変化しつつある。共同研究代表である楠房子らは、コンピュータ導入のもとでの小学校での研究を去年行い、共同学習のおける学習ソフトウェアデザインについてシステム設計、実験・分析を行った。今年度は、さらに視点を広げ、多摩美術大学デザイン棟5学科全体で「小学生との交流を通じての創造性支援」に取り組む。本研究は、コンピュータでの美術教育の実践にとどまらず、ほんものの造形教育にふれることによって、こどもは何を感じるかを探るのが目的である。またコンピュータ上での造形教育とどうつなげていくかという視点からも研究を行う予定である。今年度は、多摩美術大学の学科の内容を地域に知ってもらうことを中心に行い、来年度も本研究を継続することによって多摩・八王子地域との新しい地域交流をめざす。また、多摩美術大学オープンキャンパスにこどもとともに両親や兄弟とともに参加してくれるよう7月のオープンキャンパス中心のスケジュールを組む。小学校側からは、高い専門性をもつ大学の造形教育にふれることによって造形教育授業の研究にもなると歓迎されている。今年度は、生産デザイン学科、工芸学科の講義の内容を中心に他の学科との連携をとりながら行う。最後に実践のまとめとして、情報デザイン学科が1年間の実践をホームページに表現する授業に参加する。
多摩美術大学共同研究費交付。http://www.idd.tamabi.ac.jp/studio5/kusunoki/primary/kusunoki1.html
1999.00.00
共同研究「竹尾コレクションポスター研究」草深幸司代表。平出隆。丸山剛。ロジャー・バーナード。仙仁司。港千尋。松田直成。中野慶一。羽原肅郎。小林邦雄:明星大学。和爾詳隆:明星大学。桜井亮介:東京造形大学。株式会社竹尾から多摩美術大学に寄託されたポスター・コレクションを研究対象として、その実態を調査・把握すると同時に、ヴィジュアル・コミュニケーション・デザインの諸観点から、デザイン史的に価値のある、コレクションに含まれるポスターのデザイン属性の研究、さらにそれを一般化して視覚言語としてのポスターの意義・機能などをあきらかにする。去年はコレクションの巨匠のポスターに含まれるデザイン的属性の調査のために、それらの属性の図式化である属性図とその構想の理論的背景、個別の作品の属性の具体例を提案した。今年度はこのデータに基づき、ヴィジュアル・コミュニケーションの諸観点に対応するポスターの諸問題を、研究者の個別の担当領域から記述する。当初の予定通り、今年も下記の諸観点から寄託のコレクションとポスターを研究する計画であるが、すでに、去年はコレクションの代表的ポスターの属性の調査・研究をした。これについての報告は目下作成中であるが、この成果を下記の諸観点から現代的に一般化し、バウハウス以後の視覚言語デザインの発展の脈絡を、コレクションのポスターをモデルケースにして記述する。(1)
素材(紙)・印刷。(2) 美的構成(デザイン)。(3)
情報媒体・コミュニケーション。(4) 年代と時代背景。(5)
近代・現代美術の各流派との平行性。(6) 都市環境との関連。(7)
作家(デザイナー、画家)。(8)
文献。効果としては、研究成果を刊行することで、竹尾ポスターコレクション+多摩美術大学共同研究の意義を社会に認識させることになり、同時にその内容は、デザイン教育・グラフィックデザイナーの基礎資料として役立つと考える。
多摩美術大学共同研究費交付。http://www.tamabi.ac.jp/museum/poster/poster-1.htm
1999.00.00
共同研究「マルチメディア研究−デザインと教育」伊藤俊治代表。須永剛司。大渕武美。港千尋。高橋周平。桂英史:東京造形大学。1.新しいマルチメディア時代に必要なデザインの手法、教育の方向性を探究し、その成果を、実際の大学院教育、メディア・センターの活動、研究、ゼミナールなどのなかで実験してみる。2.美術大学においてインターネットなどのネットワーク機能とデジタル・アーカイブ・データベース機能をどう有機的にむすびつけてゆくのかを研究開発してゆく。3.
従来の表現領域、学問領域を統合するような新しいプロジェクト(CD-ROM、DVD、WWW、ネットワーク・イベント、ウェブ・アートなど)を起し、多摩美術大学から発信してゆく新しいアート・フォームを提案してゆく。本学紀要における研究報告。ホームページ作成、更新。データベース・モデルの公開。特別ワークショップの開催。特別シンポジウムの公開。デジタル・アーカイブ、データベースのモデルのプレゼンテーション、及びその蓄積、公開。学会誌、商業誌、各種メディア、単行本などへの発信。
多摩美術大学共同研究費交付
1999.00.00
共同研究「木彫技法書の作成」竹田光幸代表、前田忠一、嶋崎達哉、三宅一樹、松田重仁、染矢義之。平成10年度共同研究の木彫技法書の作成の研究を進めてきましたが、新しい試みでもあり、全体を網羅する研究の拡大が生じて来ました。平成10年度の研究に新たな内容を加えた研究領域の拡大と共に木彫技法の内容面をさらに掘り下げた完全なる木彫技法書へと展開した研究内容にすることにした。平成10年度共同研究実施計画内容の補充と拡大を行う。木彫着色法について。における木彫の変遷。仏像彫刻、社寺彫刻における技法。寄せ木法、組木の試作、実例。の分類。木彫技法の試作実例。多摩美術大学でつちかわれた木彫の技法を広く、一般の人々に知識や技術両面において広めたい。
多摩美術大学共同研究費交付