麻生義輝 麻生義

1901年 大分県玖珠郡南山田村

1924年 東京大学文学部哲学科文科乙類卒業

1925年 世の救済者 戯曲集:ハアゼンクレエフェル著(翻訳本 至上社)
     文学の創生期 ポケット・ライブラリイ( 慶文堂)
     黒色青年連盟結成 『黒色青年』誌 1926台湾黒色青年連盟

1926年 藝術の危機 :ゲオルゲ・グロス著(翻訳本 金星堂)
     無産階級芸術論 社会思想文芸叢書:ボグダノフ著(翻訳本 人文会出版部)
     独逸文学史 :ロバアトソン著(翻訳本 金星堂)
     芸術の危機 社会文芸叢書 評論:ゲオルゲ・グロス著(翻訳本 金星堂)

1927年 文芸解放社結成に参加アナーキスト 
     サンヂカリズムとアナーキズム 社会科学叢書:クロポトキン著(翻訳本 金星堂)

1928年 社会思想全集 第31巻 倫理学:クロポトキン著(翻訳本 平凡社)
     クロポトキン全集 第8巻 近代科学とアナーキズム 近代国家論 其他:クロポトキン著 (翻訳本 春陽堂)
1929年 社會思想家としてのトルストイ( 春秋社)

     社会思想全集 第29巻 叛逆者の言葉:クロポトキン著(翻訳本 平凡社)
     社会思想全集 第24巻 マルクス主義芸術論:ボグダノフ著 (翻訳本 平凡社)

1930年 帝国音楽学校教授 
     社会思想全集 第28巻 神と国家:エンリコ・マラテスタ著(翻訳本 平凡社)

1931年 世界大思想全集40心理の意味;バクーニン著(翻訳本 春秋社)

1932年 帝国美術学校教授

1937年 西周哲学著作集(1933 岩波書店)
     楽記講義( 春陽堂書店)

1938年 逝去 38歳

1939年 人生のための美学( 教材社
1942年 近世日本哲学史( 近藤書店・1974復刻 宗高書房)
1972年 正義と道徳;クロポトキン著(翻訳本 黒色戦線社)

2004/05ぱる出版『日本アナキズム運動人名事典』
明治三十四年大分県に生まれ、七高を経て、東大哲学科在学中に新人会に入り、セツルメント活動に携わる一方で、アナキズム運動に接近する。これが昭和初年で、麻生にとってアナキズム運動に最も積極的で、アナ系労働組合の研究会や地方講演会にも講師として参加し、クロポトキンの翻訳にも携わった、麻生のアナキズム運動のパートナーとも見なせる黒色青年連盟の前田淳一は経歴不明の謎の多い人物でもあり、戦後は東京銀座の顔役だったとも伝えられている。

1921年 西寮々歌「旻天に星」
作詞 麻生義輝  作曲 北村泰三
序曲 
  旻天(びんてん)に星またゝきて
  秋蕭條の夕まぐれ
  光を逐ひて曠原を
  流浪ふ人に幸あれや
一、
  暁の鐘高鳴りて
  白鶴飛ぶと見るまでに
  狭霧はれゆく水郷(みずのさと)
  城址が丘に聲すなり
三、
  長庚西に輝けば
  淡き光を面に享け
  永久(ときは)の幸の床しさに
  眉に喜悦の誇あり
二、
  白熱の氣を胸に祕め
  明け行く路を辿る時
  樟の林に天欒の
  詞は既に調ひぬ
四、
  野渡の草葉に置く露の
  度重りて二十年
  美(は)しき紀念(かたみ)の今日の日を
  いぎ歌はなん朗かに

1921年 西寮々歌「落日眩き」
作詞 麻生義輝 作曲 高坂知武
一、
  落日(いりひ)呟き南国の
  樟の木蔭に歌ひてし
  多情の詩人幾度か
  無明(むみょう)の暗を泣きにけん
三、
  岸齧(か)む波の永遠に
  櫻島根の渝らねば
  希望に燃ゆる若人の
  崇き理想を君見ずや
二、
  されば歡喜の世の波に
  エデンの園の夢醒めて
  薄命の身を喞(かこ)つとき
  新しき世の暗示(さとし)あり
四、
  あゝ團欒の同胞よ
  人の去來の繁ければ
  愛と光の香を添へて
  聲高らかに歌はなん

1922年 對五高戰應応援歌「夕映雲の」
    作詞 永井深造 麻生義輝 作曲 迫太平
一、
  夕映雲の色あせて
  旌鼓むなしく鳴りしより
  嵐は叫び露は泣き
  北天の星異彩あり
二、
  恨は深し地に荒む
  この凄惨の一星霜
  にがきさかづき敗績の
  あゝ断腸のその味よ
三、
  雪辱の念堪へがたく
  土にまみれし腕もて
  熱球北に擲てば
  山河新に波ゆらぐ
四、
  いぎ武夫原の陣頭に
  勝利に酔ふて燃ゆる血の
  紅染むる空高く
  勝鬨あげよ亂舞せよ