1984 George Orwel | ギュイヨ自由と連帯 |
ニュースピーク Newspeak 新語法 ダックスピーク [newspeakdictionary] [Bush's Imagin] |
思考の単純化と思想犯罪の予防を目的として、英語を簡素化して成立した新語法。2050年頃までにはオールドスピークは廃止される予定。 全ての言葉は政治的・思想的な意味を持たなくなり、この言語が普及した暁には反政府的な思想を書き表す方法が存在しなくなる。 freeの意味も「free from ~」の意味しか残らず「政治的自由」「個人的自由」の意味は消滅し、原文の意味を保って自由や平等を謳う政治宣言などをニュースピークに翻訳することは不可能になる。 「ニュースピーク辞典」が改定されるたびに語彙は減る。第11版で語法が完成予定、それにあわせシェークスピアなどの過去の文学作品も書き改められる作業が進められている。 改訂の過程で、全ての作品は政府によって都合よく書き換えられ、原形を失う。 |
語彙の整理 語を必要最小限にまで簡略化する。 動詞と名詞を統一 接尾語をつけることで大半の語彙を廃止 接頭語をつけることで大半の語彙を廃止 |
略語を採用ることによって本来の語源を考えることなくまったく自動的に単語を話すことができる ナチ 国家社会主義ドイツ労働者党 Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei |
A群語彙 日常生活に必要な名詞や動詞、その意味は単純なものに限定され文学や政治談議には使用しにくい。特定の具体的で明白な概念しか持たない。 |
B群語彙 goodthink 正統性・正統的に考える crimethink 思想犯罪、自由や平等などイングソックに反するあらゆる思想 oldthink 旧思想、革命前の古い邪悪な思想、客観性や合理主義など crimestop 犯罪中止、頭の中の思想犯罪に通じる思考を中断させること thinkpol シンクポル、思想警察 goodsex 健全な性、純潔 joycamp 歓喜キャンプ、強制収容所 ownlife 利己生活、孤独な行動など個人主義的な逸脱をすること Minipax 「平和省」、軍事と戦争をつかさどる省庁 |
C群語彙 科学技術に関する用語。科学的思考自体は思想犯罪とされる。 |
ダブルシンク doublethink、二重思考 |
自己規制 1人の人間が矛盾した2つの信念を同時に持ち、同時に受け入れることができるという、オセアニア国民に要求される思考能力。現実認識を自己規制により操作された状態でもある。 「古代の専制者は命じた。汝、するなかれと。全体主義者は命じた。汝、すべしと。我々は命じる、汝、かくなり、と」 |
自由意思 オセアニアでは人々はニュースピークやダブルシンクを通じ認識が操作されるため、禁止や命令をされる前に、すでに党の理想どおりの考えを持つ。 党の考えに反した者も、最終的には自由意思で屈服し、心から党を愛し、党に逆らったことを本当に後悔しながら処刑される。 |
過去改竄 過去を支配する者は未来まで支配する。現在を支配する者は過去まで支配する 政府が過去を改竄し続けているのは、党員が過去と現在を比べることを防ぐため、そして何よりも党の言うことが現実よりも正しいことを保証するためである。 党員は党の主張や党の作った記録を信じなければならず、矛盾があった時は「犯罪中止」により誤謬を見抜かないようにし、万一誤謬に気づいても「二重思考」で自分の記憶や精神の方を改変し、党の言うほうが正しいということを認識しなければならない。 |
「2足す2は5である」(2+2=5、Two plus two makes five) スミスは愛情省でオブライエンに二重思考の必要性を説かれ拷問を受け、最終的にはスミスも犯罪中止と二重思考を使い、「2足す2は5である、もしくは3にも、同時に4と5にもなりうる」ということを信じ込むことができるようになる。 |
ダブルスピーク(doublespeak、二重語法 婉曲法) |
矛盾した二つのことを同時に言い表す表現。 |
リストラクチャリング、事業の再構築 →従業員の大規模解雇 無限の正義、不朽の自由 →アフガニスタン侵攻作戦 愛国者法 →テロリズムを摘発し阻止するため適切な手段を提供し、アメリカを団結させ強化する法律 転進 →撤退 玉砕 →全滅 特車 →戦車 支援戦闘機 →爆撃機 護衛艦 →軍艦 仕様(非対応) →欠陥 設計ミス 定格 → 自由と意力 → |
フロリダの犬 |
オセアニア Oceania 第三次世界大戦後の超大国。旧アメリカ合衆国をもとに、南北アメリカおよび旧イギリス、アフリカ南部、オーストラリア南部(かつての英語圏を中心とする地域)を領有する一党独裁体制。 イデオロギーは「イングソック」 エアストリップ一号(Airstrip One)かつて英国とよばれた地域に相当し、ユーラシアに支配されたヨーロッパ大陸部とは断絶状態にある。エアストリップ(緊急用滑走路)の名のとおり、その主たる存在意義は、航空戦力でユーラシアに対峙・反撃する最前線基地である。いわばオセアニアの不沈空母である。ロンドンには絶えずミサイルがどこからか着弾している。 |
ユーラシア Eurasia 旧ソビエト連邦をもとに欧州大陸からロシアを領有する一党独裁体制 イデオロギーは「ネオ=ボリシェビキズム」 |
イースタシア Eastasia 旧中国や日本を中心に東アジアを領有する一党独裁体制。 イデオロギーは「死の崇拝」「個の滅却」 |
紛争地域 北アフリカから中東、インド、東南アジア、北オーストラリアにかけての一帯は、これら3大国が半永久的に争奪戦を繰り広げる。 |
永久戦争 3大国は絶えず同盟を結んだり敵対しながら戦争を続けている。表向きには各国とも世界支配のため他の大国を滅ぼすべく戦っているが、実際は世界を分割する3大国が結託し、労働力を浪費して、富の増加による階級社会の崩壊を防ぎ、支配と権力を維持するために行っている。 |
偉大なる兄弟 ビッグ・ブラザー 国民が敬愛すべき対象であり、町中の到る所に、「偉大なる兄弟があなたを見守っている」 (BIG BROTHER IS WATCHING YOU) という言葉とともに彼の写真が張られている。しかし、その正体は謎に包まれており、実在するかどうかすらも定かではない。 |
人民の敵 ゴールドスタイン 党の最大の敵で、国民は毎日テレスクリーンを通して彼に対する「二分間憎悪」を行い、彼に対する憎しみを駆り立てる。 |
テレスクリーン 全国民は監視下に置かれ私的生活は存在しなくなっている。 |
イングソック IngSoc、Ingland Socialism 一種の社会主義であり、核戦争後の混乱の中、社会主義革命を通じて成立したようだが、誰がどのような経緯で革命を起こしたのかは、忘却や歴史の改竄により明らかではない(エマニュエル・ゴールドスタインのパンフレットによれば、そのイデオロギーの正体は「寡頭制的集産主義」とでも呼ぶべきもので、「社会主義の基礎となる原理をすべて否定し、それを社会主義の名の下におこなう」ことであるらしい。もとは社会主義運動の中から発したが、現在は下層階級を味方につけた中層階級が上層階級を倒す事態を永久に防ぎ、非自由と不平等を恒久的なものにすることを目的としている)。 |
党内局 inner party 党内局員は黒いオーバーオールを着用し、貴族制的な支配階級で、世襲でなく能力によって選ばれ、テレスクリーンを消すことができる特権すらある。 |
党外局 outer party 党外局員は青いオーバーオールを着る中間層で、党や政府の実務の大半をこなす官僚たちである。党にかかわりを持たない人々はプロレ(the proles、プロレタリア)と呼ばれ、人口の大半を占める被支配階級の労働者たちであるが、娯楽(酒、ギャンブル、スポーツ、セックス、ほか「プロレフィード(Prolefeed)」と呼ばれる人畜無害な小説や映画、音楽など)はふんだんに提供されている。 |
3つのスローガン 戦争は平和である(WAR IS PEACE) 自由は屈従である(FREEDOM IS SLAVERY) 無知は力である(IGNORANCE IS STRENGTH) |
平和省Minipax 軍を統括する。オセアニアの平和のために半永久的に戦争を継続している。 豊富省Miniplenty 絶えず欠乏状態にある食料や物資の、配給と統制を行う。 真理省Minitrue プロパガンダに携わる。政治的文書、党組織、テレスクリーンを管理する。また、新聞などを発行しプロレフィードを供給するほか、歴史記録や新聞を、党の最新の発表に基づき改竄し、常に党の言うことが正しい状態を作り出す。 愛情省Miniluv 個人の管理、観察、逮捕、反体制分子に対する拷問などを行う。すべての党員が最終的に党を愛するようにすることが任務。 |
1946年のエッセイ『政治と英語』(Politics and the English Language)
メタファーの劣化、気取ったレトリック、意味のない言葉などが思考のあいまいさや論理的思考の欠如に貢献する
[学術用語・法律用語] [語源由来辞典] 魔女狩り 想念の裏切り
ニュースピーク Newspeak
二重思考 Doublethink
重語法 Doublespeak
二重分節 Double articulation